日本ゼオン 高機能材料が黒字転換

2013年11月11日

ゴムタイムス社

 日本ゼオンの2014年3月期中間連結決算は3セグメントともに増収となり、売上高が1483億7400万円、同16・6%増、営業利益は167億3800万円、同46・3%増の大幅増益となった。

 売上高が増収となったのはアジア地区を中心とした海外での販売価格下落(59億円)があったものの、高機能材料の光学フィルムの販売数量増(205億円)、為替円安(66億円)が寄与。営業利益は光学フィルムの販売数量増、為替円安に加え、光学フィルムの稼働率の上昇で固定費の負担が軽減され増益となった。
 エラストマー素材事業部門の売上高は前年同期比8・1%増の921億6700万円、営業利益は同2・6%減の106億5400万円となり増収減益となった。
 合成ゴム販売は円安を背景にした拡販が奏功し販売数量(15万7000トン、前年同期比9・6%増)を伸ばし、売上高は921億6700万円、同8・1%増の増収となった。営業利益はブタジエン価格の下落に伴う海外子会社における市況の悪化等の影響を受け、前年同期実績を下回った。 
 合成ゴムの販売数量は汎用ゴムが前年同期比14%増、特殊ゴムが同1%増となり、タイヤ向け、自動車部品向けの国内販売の落ち込みを輸出出荷がカバーした。
 合成ラテックスは一般工業用途向けの販売が堅調であったものの、主力の手袋向けの輸出販売が低調であったため売上高は前年同期比0・4%減の94億4200万円。
 化成品は国内市場での石油樹脂及び熱可塑性エラストマーの販売低調並びにタイ子会社での需要低迷の影響があったが、モノマー販売が堅調に推移し、円安を背景に海外市場での販売も好調だったことで売上高は189億2100万円、同11%増、営業利益も前年同期を上回った。
 一方、高機能材料事業部門の売上高は同43・4%増の330億400万円、営業利益は54億800万円と前年同期の赤字から黒字転換が図られた。
 高機能ケミカルは合成香料等の化学品が伸びたほか、電池材料及びトナーは好調であったが、電子材料などの売上高が前年同期を下回ったため、売上高は同2・4%増の97億600万円。高機能樹脂の売上高は同81・7%増の211億9500万円となり、医療用途・光学レンズ用途の販売が堅調に推移したほか、高機能部材では、テレビ向け、モバイル向け光学フィルムの販売が堅調に推移し、数量及び売上高を伸ばした。メディカルも同12%増の増収となった。

 通期も増収増益を予想

 通期業績予想は前回発表から変更はなく、売上高2930億円、同16・8%増、営業利益280億円、同18・2%増、経常利益300億円、同19%増、純利益175億円、同18・6%増を見込んでいる。「エラストマー、高機能材料、その他の3セグメントで売上高は増加する見込みだが、エラストマー素材の営業利益は下期も海外市況は厳しい環境が続くことで23億円の減益をみている。高機能材料は光学フィルムを中心に下期も継続して高水準の売上が見込めるとし、年間を通して大幅な増益を見込んでいる」(南忠幸取締役執行役員)
 下期のエラストマー素材の需要見通しについては、「海外市況が悪化している状況が継続しており、ナフサ価格も不安定な動きを示していることと、中国をはじめとする新興国の経済がまだ本調子ではなく、欧州需要が弱いなどの悪材料がある。一方で国内の自動車生産がやや上向きつつあること、低下を続けていたブタジエン価格もここにきて反転の兆しを見せているのは好材料。とは言え、全体としては収益環境は予断を許さない状況にあるが、何とかこの数字に上乗せをはかっていきたい」と述べた。

 

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