日本ゼオンは4月23日、同社川崎工場と総合開発センターの敷地内(神奈川県川崎市)に社内外に開かれた新たな共創イノベーション施設の建設を決定した。施設の敷地面積は約4000m2、建屋延床面積は約2万3000m2(8階建て)で、完工時期は2026年度となっている。
同社は首都圏に位置する両事業所の立地優位性を活かし、世界中の顧客やパートナー企業と共創する空間を提供し、同社が保有するコアテクノロジーとの融合を図ることで新製品開発を加速する。また、同イノベーション施設を起点として、この地が同社のイノベーション発信の中心となり、川崎工場が「研究開発型工場」として飛躍する未来を描いている。
新施設の主な機能と設備としては、①社外共創の機能・設備(顧客との共創により高速、高信頼性の製品開発が可能なオープンラボ、近隣研究施設やスタートアップとの共創研究室)。②社内連携の機能・設備(組織横断のコミュニケーションとイノベーションを促進するコラボレーションスペース、事業環境変化にも柔軟に対応できる可変性をもったラボ)。③社員が誇りを持ち、働きたくなる場づくり(ワークシーンにより仕事の場所を選択できる、快適で効率が上がるオフィス、オンとオフを切り替え、リフレッシュできる食堂(おいしく・楽しく・くつろぐ空間)④災害対策や省エネの機能・設備(耐震性と津波リスクを考慮して配置する工場中央コントロール室/防災センター/地域避難所、高効率設備や太陽光パネルの導入による省エネと創エネ)。
今後、同社は製品設計から製造技術の作り込み、事業化推進のサイクルを高速で回すことで、連続的なイノベーションを実現していく。同イノベーション施設は、同社の中期経営計画 STAGE30における2030年ビジョン「社会の期待と社員の意欲に応える会社」の実現や、その先を見据えたイノベーションの創出に向けた挑戦への象徴的な存在となっている。
同社の川崎工場と総合開発センターが立地する川崎臨海部は、ライフサイエンス関連の先端企業等の集積が進むなど、新たなビジネス創出の街へと急速に変貌を遂げつつある。
また、多摩川スカイブリッジの開通により対岸の羽田空港周辺地域とのアクセスが格段に向上し、ヒト・モノ・ビジネスの交流活性化による国際的な競争力強化と、経済の持続的な発展に寄与することが期待されている地域である。
この立地優位性と、工場と研究所が隣接する強みを活かし、社内外との連携強化の拠点として共創イノベーション施設が誕生する。中期経営計画の全社戦略に掲げるリチウムイオン電池向けの材料開発では、同社の強みである電池評価・解析技術を駆使し、顧客の困りごとを早期に発見し、製品開発のスピードを高めるためのオープンラボの機能を備える。新たな電極製造方法であるドライ成形技術のプロセスや材料開発にも対応していく。
なお、同施設は工場の心臓部である中央コントロール室、先端素材の研究室、同社では最大規模の顧客共創オープンラボ等が同じ建物内に共存するだけでなく、工場と研究所の社員が同じフロアで執務し、「集える場所」「偶発的な出会い」を実現する、今までにないボーダーレスな空間となる。
2024年04月23日