BASF 樹脂製シートダンパーを開発

2013年06月13日

ゴムタイムス社

 BASFとソミック石川は11日、樹脂製シートダンパーを共同開発したと発表した。
 この樹脂製ダンパーは、日本の自動車メーカーに導入されており、自動車用シートの快適性を高めている。同ダンパーにより、自動車シートのリクライニング動作が滑らかになるだけでなく、その衝撃吸収性によってキャビンスペースの安全性も高まる。自動車メーカーにとってこの技術革新は、製造プロセスの簡素化を可能にし、システムのコスト削減に寄与する。
 ソミック石川のダンパー事業部/技術管理部長である瀧井正明氏は、「樹脂製ダンパーの構造は、作動油の圧縮機構の導入を可能にし、シートバックの直立状態から水平までの全行程で、ゆっくりと安定したリクライニング動作を可能にする。さらに、前席のグローブボックスから後方のテールゲートにいたるまで、さまざまな用途において使用できることがわかっている。同社の革新的なダンパーが、自動車のオーナーにとっての快適性、利便性、安全性を高めることに貢献している」としている。
 BASFパフォーマンスマテリアル事業本部のアジア地域テクニカルマーケティングを統括するDr.マーティン・バウマート氏は、「ガラス繊維を60%含有するウルトラミッド高弾性ポリアミド樹脂の各種グレードは、優れた機械特性を備えている。吸湿性を最小限に抑えることで高い寸法安定性を維持するとともに、優れた加工性や表面処理と組み合わせれば、ウルトラミッド部品は油圧が高くても油漏れがない。作動油の圧縮機構を備えたこのダンパーには、特殊な樹脂が必要だった。同社独自の各種高弾性グレードだけが、この厳しい要件を満たすことができた」と語っている。
 亜鉛で作られていたシートダンパーを、ウルトラミッドに置き換えたことによって、50%の軽量化を実現し、ダンパーの部品点数を減らすことができた。
 シートダンパーに樹脂を取り入れることで締結部位の機能統合を実現し、製造プロセスの簡素化と総コストの削減につながった。さらに、重い金属から樹脂への置き換えは、自動車の軽量化と低燃費化を図る上で、昨今求められていることの一つ。現在樹脂は、自動車の重量の最大20%を占めているが、その機械的性質を継続的に改善しながら、今後も両社は、最適材料として自動車メーカーとサプライヤーに提案していくとしている。
 ダンパーは、自動車のグローブボックス、シートレバー、アームレストなどのさまざまな用途に使用されている。開閉やリクライニングするどの部品も、ダンパーで動きをコントロールすることができる。ウルトラミッドを使用したソミック石川のダンパーの特性には、開閉動作やリクライニング動作の速度調節、急ブレーキをかけたときの衝撃緩和、走行中の振動吸収性の向上も含まれている。

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