BASF ベンツにプラ製エンジンサポートが採用

2013年03月14日

ゴムタイムス社

 BASFは12日、同社の高強度特殊ポリアミドUltramid(ウルトラミッド)A3WG10 CR製のエンジンサポートが、ダイムラー社のメルセデスベンツ新型GLクラスの6気筒ディーゼルエンジンに世界で初めて採用されたと発表した。
 プラスチック製エンジンサポートは従来のアルミ製と比べ、耐荷重性能は同等ながらも防音特性と断熱特性に優れ、軽量化に貢献する。今回採用されたエンジンサポートは、エンジンマウントとともにエンジンを支える部品で、非常に高い荷重条件に対応するよう構造的に最適化された高強度特殊ポリアミドUltramid A3WG10 CRを使用している。金型の設計と生産は、ドイツ ボーデルスハウゼンのJoma―Polytec社が行っている。
 既に多くの自動車メーカーが採用しているトルクサポートには、Ultramidの多くのグレードが採用されているが、主に一時的に発生する「振れ」を抑制している。これに対してエンジンサポートは、エンジン重量の負荷が持続的にかかる上に、エンジントルク全体を吸収する必要があり、これまではアルミニウムで作られてきた。この過酷で、耐衝撃性が求められる環境においてアルミを代替するには、プラスチックは厳しい機械的要件を満たす必要がある。Ultramid A3WG10 CRは極めて高い剛性を持つが、エンジンルーム内の限られたスペースでの連続荷重下ではクリープによる変形を十分に小さくする必要がある。また、エンジンルーム内の取り付け条件によっては、高い「曲げモーメント」にも耐えなければならない。
 一方Ultramidのエンジンサポートは、アルミ製に比べて防音特性の点で優れている。プラスチックに特有の減衰挙動により、バランスのとれたエンジンサウンドに貢献する。
 プラスチックの熱伝導がアルミに比べて非常に少ないことも同製品のメリットとして挙げられる。この結果、同製品は天然ゴム製のエンジンマウントをこれまで以上にエンジンの熱から守り、マウントの寿命を伸ばす。環境面でもプラスチック製エンジンサポートは、アルミ製に比べ30%以上軽く、CO2排出量削減に貢献する。
 また、同製品は小さな衝突を再現した、いわゆる「リペアクラッシュ」と、大規模な「オフセットクラッシュ」(オフセット正面衝突)のテストをクリアする必要がある。各種衝突テストの実施に加え、同社はUltrasimユニバーサルシミュレーションツールを使用して、初期の開発段階から「リペアクラッシュ」と「オフセットクラッシュ」のケースを念頭に、部品の挙動をシミュレーションした。この挙動予測における破壊荷重、動的パルス荷重下での各種強度、および衝突荷重は実験結果と極めてよく一致し、現行のアルミニウム製サポートに要求される特性を達成することができたとする。これにより、開発の早い段階で高荷重に耐えるためのリブ加工を施し、また防音要件をクリアする事に成功し、試作品の数を減らすことが可能となった。

プラスチック製エンジンサポート

プラスチック製エンジンサポート

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