【コラム】 ここまで来た、最近の人工筋肉

2013年03月18日

ゴムタイムス社

 SF映画の一シーンで良く見かける光景、生体工学的人間の出現、例えば、「コンビニに買い物をするために、走っている障害者の映像」、最近まで人類の長年の夢だと思われていたこのような人工筋肉は、近年現実味を帯びてきた。

 人間のように素早く、しなやかに動く人工筋肉の開発をする動きが加速している。今まで空気圧、化学変化、光に反応する素材、電気・熱的に刺激を受けて駆動する素材等が研究されてきたが、残念なことに、その殆どのシステムは、生体の筋肉のように、軽く、伸びと力が両立し、ソフトにかつ手軽に駆動できていない。

 しかし最近、全世界的に注目さているのが、誘電エラストマ型人工筋肉アクチュエータ(DEAM:Dielectric Artificial Muscles)だ。 ソフトな素材、ゴム(エラストマ)を使い、柔軟な動きを実現し、かつ、伸びと力もあるからだ。このDE、エラストマに伸び縮み自在の電極を張り、生体の筋肉のように、自在に伸び縮みする。
 色々なエラストマが用途別に使え、またアクチュエータ駆動を逆にすると、高率発電や高性能センサーにもなる優れもので、近い将来、産業界のコメになると言われている。

 DEは、1991年頃、米国スタンフォード研究所にいた千葉正毅やRonPerlineが中心となり、人工筋肉プロジェクトを開始したのが始まりで、90年代の後半から、2000年代にかけて、数々のブレークスルーを実現し、その可能性を広げ、現在実用的レベルに達し、注目を浴びている。
 DEは非常にシンプルな構造のため、加工性にも優れ、マイクロメーターから数メーターの大きさのデバイスに対応した形状設計が可能である。 またエラストマを主材料にしているので、ギヤやカム等が不要で、静かに、柔らかく自然な触感を実現しているので、動作スピード方向を急に変えても安全でスムーズな駆動を実現している。

  このDEを使い検査・製造・介護・家庭ロボット等の開発や各種医療用機器(使い捨てを含む)、スピーカー、人工筋肉と組み合わせた各種リハビリ用器具、車や各種機械部品等の応用開発に広がっている。
 近い将来、これらが市場に出て来ると思われる。 DEのもう一つのモード、「発電」も盛んに研究・開発が欧米で行われ、近い将来、波発電機等に搭載される可能性が非常に大きい。
 現在存在する波発電機は、波の大きさや方向に多く作用され、またタービンを回すタイプが多く、その効率やコスト面で、かなり難しいが、DEを使用すると、それらが解消され、発電コストも、ラボや海上での実証試験から、既に20円/Kwをクリアしている。
 近い将来、発電密度を2倍にし、エラストマコストを半分にすると、原子力・火力を超える5円/Kwも夢ではないようだ。
 これが世界に普及すると莫大なラストマの使用料となり、業界には久々の朗報である。
 また既存の風力発電・地熱発電等と供にハイブリットかできるのも大きなメリットのようだ。このような発電機が近い将来現実化するのが楽しみだ。

千葉正毅

『誘電エラストマーの構造・動作原理と応用技術動向』

▽平成25年4月25日10時30~16時30分
▽会場=川崎市国際交流センター1F第1会議室
 ▽講師=千葉科学研究所代表 理学博士兼産業技術総合研究所 客員研究員 千葉正毅氏、有限会社Wits代表取締役兼産業技術総合研究所 客員研究員 和氣美紀夫氏
▽主催=&Tech((株)AndTech)
TEL=050ー3538ー1954
【プログラム】

1.人工筋肉型アクチュエータの現状
 1.1.エレクトロアクティブポリマー(EAP)概論
 1.2.イオンや磁気などを利用したエレクトロアクティブポリマーとその特徴

2.海外の研究開発動向

3.誘電エラストマーアクチュエータの進化と今後
 3.1.アクチュエータの動作原理、製作方法や使用時のポイント
 3.2.誘電エラストマーアクチュエータの各種デバイスとその応用例
  3.2.1.ポンプ、モータ、スイッチなどへの応用
  3.2.2.スマートマテリアルなどへの応用(マイクロ工場への応用など)
  3.2.3.指向性を有したスピーカ、ソナー、ノイズリダクション・システムなどへの応用
  3.2.4.医療用デバイスへの応用
  3.2.5.高出力アクチュエータへの挑戦

4.誘電エラストマーのセンサーへの応用

5.高効率人工筋肉発電システムへの応用
 5.1.発電システムの動作原理と今後
 5.2.誘電エラストマー発電システムとその応用例
  5.2.1.小型発電システムとワイヤレスシステムなどへの応用
  5.2.2.ウエアラブル発電システム
  5.2.3.波発電システムと水産業などへの応用
  5.2.4.マイクロ水力発電システムと一次産業への応用
  5.2.5.回転翼を持たない新しい風力発電への挑戦
  5.2.6.廃熱や太陽熱を利用した発電システムへの応用
  5.2.7.誘電エラストマー発電システムの将来

6.誘電エラストマーの駆動体験および今後の展開

詳細はこちらまで

http://ec.techzone.jp/products/detail.php?product_id=3232

関連キーワード:

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー