【シリコーンゴム特集】信越化学工業 中国・新工場で試運転開始

2012年08月20日

ゴムタイムス社

中国・新工場で試運転開始 市場に密着したビジネスを展開

信越化学工業

 信越化学工業は、中国江蘇省南通市にシリコーン製品の製造工場「信越有机硅(南通)有限公司」の建設を進めていたが、このほど試運転を開始、年内にも本格稼働をはじめ、日系メーカーの現地調達の需要などに応えていく。
新工場は、成形用シリコーンゴム、シリコーンRTVゴムなどを生産し、年産2万5千トンの生産能力を有する。同社では当面、汎用ゴムを中心に製造を行う予定にしているが、市場のニーズに対応して順次、生産製品を拡大していく計画。
 国内のシリコーンゴム製品の上期販売動向は、自動車の生産回復で自動車用材料が堅調に推移、OA・事務機器関連材料も新規製品への採用で復調してきたという。一方で、電子機器関連向けは世界経済の低迷もあり、弱含みで推移しているが、長期的にはLED関連、放熱分野は成長市場であり、今後も注力分野としている。
 同社では、こうした注力分野での新製品として、高輝度LEDパッケージ材料の一つであるシリコーン封止材料で、ガス透過性を大幅に低減した低屈折率タイプの「KERー7000シリーズ」を開発した。同製品は、メチル系シリコーンと同等の耐熱性を維持した上で、ガス透過性を10分の1程度にまで大幅に低減することに成功。周辺部材の腐食を起因とする輝度の低下防止に効果を発揮するため、高輝度LEDの信頼性が飛躍的に向上するという。 
また、「超低硬度複合放熱シリコーンパッド」も注力製品の一つ。これは、独自のポリマー技術とフィラー配合技術により高い熱伝導性と電気絶縁性を両立させ、さらに片面非粘着層の構造を持つ超低硬度の複合放熱シリコーンパッド。電気自動車、ハイブリッド車、電源、LED照明、パソコンなどに使われる電子部品の発熱対策に優れた効果を発揮する。
 このほか、IGBTモジュールをはじめとした各種電子部品の絶縁ポッティング材として高い評価を得ているのが「高耐熱・耐寒性シリコーンゲル封止材料」。硬化後はゲル状になり、電子部品やボンディングワイヤーへの負荷が少なく、破損や断線を防ぐことができる。
 同社では、高機能シリコーンゴムとして引き続き拡販を進めているのが「二次加硫不要型LIMS用シリコーン材料」および自動車用のターボホースに採用が進んでいる「高耐熱フロロシリコーンゴム」。
 「二次加硫不要型LIMS用シリコーン材料」は乾燥機による二次加硫が不要なため、工程時間の短縮、乾燥機のユーティリティーコストや使用エネルギーが削減できるのが最大の特長。また、低分子シロキサンを低減したことにより、成形時の金型汚れが低減し、金型クリーニングのサイクルを長くできる。同社では、材料の取り付けから成形品完成までのLIMSの実演を行っている「LIMSテクニカルセンター」(埼玉県・東松山市)でのテクニカルサービスを、今後も積極的に行っていくとしている。
 一方、「高耐熱フロロシリコーンゴム」は、従来品が180℃付近までの使用温度であったのに対し、200℃以上の高温でも優れたゴム特性を発揮する。このため、ターボホース用の内層材をはじめとするジメチルシリコーンゴムとの複合化に適している。
 下期の国内の需要見通しについては、円高の進行やエコカー補助金の打ち切りなどの不安材料があり、厳しい状況が続くと見ている。同社では、このような経済環境の中で、引き続き成長分野でのニーズの掘り起こし、ニッチな分野での市場開拓を進め、さらなる拡販を図っていくとしている。

(2012年8月13日紙面掲載)

低硬度放熱シリコーンパッドのCPUへの応用

低硬度放熱シリコーンパッドのCPUへの応用

 

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