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住友ゴムが結晶化挙動を解明 天然ゴムのき裂先端で

2019年03月18日

ゴムタイムス社


 住友ゴム工業は3月12日、ライプニッツ高分子研究所(ドイツ・ドレスデン)との共同研究により、世界で初めて天然ゴムのき裂先端の結晶化挙動を解明したと発表した。

 天然ゴムは、伸ばすと結晶化することが知られており、この結晶化部分は剛性が高くなる。そのため、SBR(タイヤで一般的に使われている合成ゴム)では発生しないこの結晶化は、天然ゴムのき裂成長や破断に強く影響すると考えられている。タイヤは接地して回転している状態では、ひずみの拘束を受けた状態で周期的な変形を繰り返すため、実験にはひずみの拘束下での天然ゴムのき裂先端の変形を観察することが求められる。

 実験方法は、き裂先端の力とひずみの関係を再現し、かつX線での結晶構造の解析を可能にするために伸長方向に対して幅方向が十分に広い天然ゴムの平面試験片を用いて、伸縮を繰り返した場合のき裂先端について、X線広角散乱を用いてゴム内部の結晶化挙動を観察するもの。

 実験結果は、短冊試験片を伸長した場合は天然ゴム分子のほとんどが伸長方向に揃い結晶化が発生するが、十分に広い天然ゴム平面試験片のき裂先端では、ひずみの拘束のために、分子の並びが短冊試験片ほど揃わず、結晶がランダムにいろいろな方向を向いていることが観察された。

 さらに充填剤としてカーボンブラックを加えたゴム試験片では、カーボンブラックを混ぜていないゴムよりも結晶のサイズが小さくなることがわかった。

 一方、伸縮を繰り返す際の結晶化の状態を観察した結果、伸長時に生じた結晶化は試験片が元に戻る際に融解しますが、伸長時よりも元に戻る時の方が結晶化度が高い結果となった。

 この内容は3月5~7日にドイツ・ハノーバーで開催された「タイヤ・テクノロジー・エキスポ2019」にて発表された。この研究成果を活かし、従来と比べて優れた耐摩耗性能を持つゴムの開発を進め、さらには「より性能が持続する」高性能タイヤの開発につなげていく。

 既に合成ゴム内部の「ボイド」と呼ばれる空隙(ゴム破壊の元)の発生からき裂発生までのメカニズムを解明していたが、今後の環境問題や性能持続の観点から、タイヤの主原料の一つである天然ゴムの破壊現象を解明することも重要なポイントと位置付けている。

 同社は、自動車産業を取り巻く環境が大きく変化するなか、同社は「さらに高い安全性能」を実現するためのタイヤ技術開発コンセプト「スマートタイヤコンセプト」を掲げている。今回の天然ゴムのき裂先端における結晶化に関する研究成果から、結晶の並び方をコントロールすることで、今までより破壊されにくいゴム、高い耐摩耗性能を持ったゴムの開発が期待されるとし、今後も材料開発のスピードを高め、スマートタイヤコンセプトの方向性の一つである性能持続技術の進化に努めていく。

 

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