年頭所感 横浜ゴム 山石昌孝社長

2019年01月09日

ゴムタイムス社

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年を振り返る前に、まずは、ヨコハマタイヤ・マニュファクチャリング・ミシシッピにおいて減損処理を実施することとなり、関係各方面に多大なるご心配をお掛けしましたことを、改めてお詫び申し上げます。

 昨年の経済状況ですが、国内では、景気の回復が継続しました。海外においては、米国で回復が継続しており、欧州でも底堅く推移する一方で、中国では減速基調となりました。
 こうした経済環境の中、第3四半期までの当社の状況ですが、タイヤ事業につきましては、新車用タイヤは国内で販売が低調だったほか、海外でも販売が減少しました。市販用タイヤは、国内では高付加価値商品の拡販により前年同期を上回りましたが、海外においては販売が減少しました。MB事業では、ホース配管事業、工業資材事業では売上収益は前年同期を上回りましたが、ハマタイト・電材事業及び航空部品事業では、売上収益は前年同期を下回りました。ATGにつきましては、農業機械用の新車用タイヤの販売が好調で売上収益は前年同期を上回りました。昨年通期連結業績予想につきましては、売上収益及び事業利益については過去最高となる見込みです。

 続いて、新中期経営計画「GD2020」のスタートの年となった昨年に実施した取り組みについてです。

 はじめにタイヤ消費材事業についてです。まず、「プレミアムカー戦略」に沿った新車装着の実績では、BMWのM5やX4、トヨタのクラウンに納入されました。「ウィンタータイヤ戦略」では、欧州にオールシーズンタイヤ「ブルーアース4S・AW21」を投入しました。また、ランフラットモデルナルとなる「アイスガード6Z・P・S」の販売も開始しました。更に、SUV向けのスタッドレスタイヤ「アイスガードSUV・G075」のサイズラインアップを拡充しました。「ホビータイヤ戦略」では、「ジオランダ―X-MT」を日本で発売しました。また、「アドバンA053」、「アドバンA08B」、「アドバンA052」のサイズ拡大を実施しました。
 「お客様とのコミュニケーション活性化」においては、様々なユーザーとのコミュニケーションの場を創設しました。
 モータースポーツ活動については、昨年よりスタートした「FIAワールド・ツーリング・カーカップ」においてワンメイク供給を実施しました。その他、国内最高峰のカートレース、「全日本カート選手権」OK部門において初のシリーズチャンピオンを獲得しました。
 タイヤ生産財事業については、建設車両向けにおいてグループ全体で柔軟な供給体制の推進を致しました。トラック・バス用タイヤでは、超偏平シングルタイヤの三重工場の生産能力の倍増を決定しました。また、耐摩耗性能重視型トラック・バス用オールシーズンタイヤ「710R」を発表しました。
 MB事業では、「自動車部品ビジネスの拡大」戦略で、カーエアコンホースとカーエアコンの内部熱交換機を開発し、フィアットクライスラーのジープ・ラングラーとコンパスに採用されました。また、「海洋事業を確固たる世界No・1へ」では、インドネシアの子会社でマリンホースの国際認証を取得し、販売を開始しました。その他、12月に行われた「接着・接合EXPO」に出展し、高い技術力をアピールしました。
 スポーツ事業ではPRGR契約プロの小平智選手が、米国PGAツアーRBCヘリテイジと、国内での日本シリーズJTカップにおいて、それぞれ優勝を飾りました。商品については「Q」シリーズと、新「RS」シリーズを発売しました。
 ブランド戦略については、チェルシーFCがFAカップで優勝し、弊社ロゴがさまざまなメディアに露出したほか、ディディエ・ドログバ氏が11月に来日し、イベントを開催しました。また、米国メジャーリーグのエンゼル・スタジアムの広告看板が、大谷翔平選手の活躍とあいまって露出が多くなりました。
 CSR活動においては、「未来への思いやり」をコンセプトに、「持続可能な開発目標」の達成に向けて取り組みを行っており、「持続可能な天然ゴムの調達方針」を策定しました。
 働き方改革については、労使間の最優先事項として多くの施策を導入しております。
 コーポレイト・ガバナンスについては、グローバル内部通報制度を中国に導入し、さらにフィリピンでの導入を計画しています。役員制度においても、社内外の取締役の構成比率も変更したほか、新たに外国人執行役員と女性の社外監査役を登用しました。
 
 続いて、「GD2020」の2年目となります本年以降の取り組みについてです。

 まず、タイヤ消費財事業についてですが、「プレミアムカー戦略」では、国内外のプレミアムOEへの納入を更に加速させて参ります。また、国内リプレイス市場に新商品「ブルーアースGT・AE51」を2月より投入し、プレミアム市場での存在感の向上に繋げて参ります。「ウィンタータイヤ戦略」では、冬用タイヤの氷上性能向上に貢献するための、給水効果を評価する新技術も開発致しました。これらの技術を最大限活用し、ウィンタータイヤの性能No・1を目指して参ります。「ホビータイヤ戦略」では、北米を中心に投入した「ジオランダ―」の拡販を図って参ります。「お客様とのコミュニケーション活性化」については、ユーザーと接点を更に増やして参ります。
 モータースポーツ活動としては、2019年より新たに開催される「TCRジャパン」にコントロールタイヤとして採用されることが決定しました。そのほか、ニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦する「コンドー・レーシング・チーム」をサポートします。
 タイヤ生産財事業については、OHTを成長ドライバーとして「次の100年の収益の柱へ」を掲げて活動して参ります。その中心となるAGTについては、インド、ダヘジ工場の生産能力を増強致します。
 MB事業では、「得意分野への資源集中」を掲げて活動して参ります。弊社は高強度、高弾性ウレタン系接着剤の基礎技術を確立しましたが、今後、自動車構造用接着剤の開発に応用して参ります。
 そのほかブランド戦略においては、チェルシーFCが本年に日本でプレシーズンマッチを開催することも決定し、国内でも露出が増えることを期待しています。

 弊社は今年101年目を向かえ、新中期経営計画「GD2020」のもと、次の100年へ向けた新たな1歩を踏み出しました。横浜ゴムの強みを再定義し、収益を伴った成長をしていくため、世界中のお客様から信頼され、必要とされる企業へと成長していく所存です。

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