年頭所感 日本ホース金具工業会 蜷川広一会長

2019年01月02日

ゴムタイムス社

 2019年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年は6月の「大阪府北部地震」、7月の「平成30年7月豪雨」、9月の「平成30年北海道胆振東部地震」など、度重なる自然災害が日本各地に甚大な被害をもたらしました。これら自然災害により被災された皆様には、改めましてお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を心よりお祈り致します。

 12月10日に内閣府が発表した2018年7~9月期の実質国内総生産(GDP)の改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・6%減、同じペースの下落が1年続いた場合の年率換算で2・5%減となりました。自然災害が相次いだため個人消費や輸出が低迷したほか、最新の法人企業統計データを反映した結果、設備投資の落ち込み幅が拡大し、速報値(前期比0・3%減、年率1・2%減)から大幅に下方修正されました。マイナス成長は2四半期ぶりで下落幅は消費税が8%に引き上げられた2014年4~6月以来、4年3ヵ月ぶりの大きさです。内閣府は「設備投資は前期まで7四半期連続で増えたほか、前期の伸びが大きかった反動が出た」と分析しており、「緩やかな景気回復が続いていることに変わりはない」とみております。しかしながら、米中貿易摩擦等の通商問題の動向が世界経済に与える影響や、10月の消費税増税等の影響もあり予断を許さない年になりそうです。

 さて、当工業会の需給状況ですが、建設機械向けや工作機械向けが好調で、昨年1~10月の出荷実績は578億円(前年同期比104%)となっております。内訳は産業用ゴムホースが409億円(前年同期比107%)、自動車用ゴムホースが68億円(同92%)、樹脂ホースは66億円(同102%)、付属金具は35億円(同106%)でした。

 大手需要先である建設機械の2018年1~10月の本体出荷額は、国内が6836億円(前年同期比90%)、輸出が1兆3004億円(同120%)、合計で1兆9840億円(同108%)でした。国内は20t未満の中小型ショベルの排ガス規制猶予期限(H29・8・31)の駈込み需要反動減の影響が出ております。輸出は中国や新興国でのインフラ投資や資源開発に伴う需要が旺盛で好調に推移しています。自動車の1~9月の生産台数は717万台(前年同期比99%)、1~10月の国内販売台数は444万台(同100%)、輸出台数は395万台(同103%)となっています。工作機械の1~10月の受注金額は内需が6356億円(前年同期比124%)、外需が9130億円(同113%)、合計で1兆5486億円(同117%)でした。

 さて、今年度ですが、経済対策に伴う公共投資増加による下支えがあり、緩やかな景気回復基調は継続すると思われます。建機関連ではオリンピック関連需要が少し縮小すると思われますが、消費税増税前の駈込み需要も想定されますので好調は持続すると思われます。

 当工業会の昨年度の事業活動ですが、例年通りホース及び継手関係のISOの審議に積極的に参画して参りました。

 ISO/TC45(液圧用ゴムホース及びプラスチックホース)関連では、10月に中国・杭州で行われた国際会議をはさみ4回の国内審議会が開催されました。

 ISO/TC131(油圧・空気圧システム及び要素機器)関連では4回の国内審議会が開催され、10月のドイツ、フランクフルトで開催された国際会議には「液圧継手ホース分科会」委員の方に参画頂きました。

 ISO/TS17165―2「液圧用ホースアセンブリの取扱い基準」が4月に改定されましたので、その基となった当会の団体規格(JHCA―STD―20)と日本ゴムホース工業会規格(JRHA―9301)を合同の「RHC委員会」で見直しを実施し、8月に規格書の改定・発行を行いました。

 本年も10月にドイツ、ハンブルクで開催予定のTC45及びイタリア、ミラノで開催予定のTC131の国際会議に参画し、日本の考え方をISOに反映させ日本規格の国際化を推進する活動を更に推進して参ります。

 当工業会といたしましては、これからも会員相互の発展を促進する為、技術の向上並びに普及を図り、公共の安全を確保すると共に、関連業界の発展のために努力して参ります。

 年頭に当たり、業界の益々のご繁栄と皆様方のご健勝を祈念申し上げますとともに、倍旧のご支援を賜りますようお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。

 

蜷川会長

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