住友ゴム工業は５月28日、現在施工中の熊本城天守閣の耐震改修工事において同社の制震ダンパーが採用されることを発表した。
同社の制震ダンパーは、自動車のレース用タイヤで培った先進技術で開発した高減衰ゴムを使用し、地震エネルギーを瞬時に熱に変換することで、揺れを吸収する粘弾性ダンパー。今回採用が決まった制震ダンパーは、３枚の鋼板の間に板状の高減衰ゴムを強力に接着したもので、大天守最上階（６階）の柱上部と梁を方杖状に連結して取り付ける。そのため、空間を遮ることなく、制震効果を得られる。同工事では計12基を設置する。
また、この高減衰ゴムは戸建て住宅用制震ユニット「ミライエ」にも使われ、熊本地震でもその効果が発揮された。
同社の制震ダンパーの特徴については、地震や風揺れに強く、大地震やその後の余震はもちろん、日常的な風揺れにも有効である。また、省スペースに設置できるため、コンパクトでありながら、十分な制震効果を得られる。実際、天守閣では方杖状に設置することにより、筋交いのように壁全面を使うことなく開放感のある空間を確保できる。このほか、ゴムの復元性を活かし、繰り返す余震にも有効、長期にわたりメンテナンスも不要となっている。
熊本城天守閣
