特集 東部ゴム商組 健全な流通機構でゴム産業の発展に貢献

2012年12月03日

ゴムタイムス社

 見学・研修 親睦活動を積極展開

 東部ゴム商組は本年度も活発な事業を推進している。下期の事業としては、工業用品部会による防衛大学校(神奈川県横須賀市)の見学会、11月1日・2日には東部ゴム商組共済会主催による鈴本寄席会の開催、さらに、11月15日には日本名水百選の「白州名水」で知られる山梨県のシャトレーゼとサントリーの工場見学会を行い、いずれも多くの参加者で有意義な行事となった。ここでは、直近の同組合の事業内容を紹介する。

 シャトレーゼ サントリーを見学

自然環境が生かされている蒸留庫

自然環境が生かされている蒸留庫

 日本名水百選の「白州名水」で知られる山梨県北杜市白州町に11月15日訪れた。見学先はアイスやお菓子を製造するシャトレーゼ白州工場と、博物館も併設するサントリー白州蒸留所。
 南アルプスの甲斐駒ヶ岳(標高2967㍍)に降った雨や雪は地中に浸み込み、花こう岩をくぐり天然水になる。地中にたくさん存在する鉱物や石英が水のろ過装置となり、大自然の営みにより「白州名水」が誕生する。
 この名水を使って、シャトレーゼではアイスクリームやお菓子を製造している。通常、アイスには賞味期限は記されないが、合成添加物をできる限り使わない同社は賞味期限をつけ、鮮度の良いアイスを全国に届けているという。
 サントリーでは仕込み・発酵工程および熟成工程を見学したが、蒸留された原酒が樽に詰められ、じっくりと熟成される貯蔵庫内は、豊潤な香で満たされていた。
 蒸留はポットスチルと呼ばれる独特の形をした単式蒸留釜を使い初留と再留の2回行う。同社では炎を直接当てる直火蒸留と蒸気を使った間接加熱の2つの加熱方式を採用している。初留において発酵で作り出された香味成分を直火蒸留では力強いタイプのニューポットを取り出す。再留でこれらの成分のうちバランスの良い部分だけを取り出すという。

博物館入口記念撮影

博物館入口記念撮影

 タイプの異なる酵母、発酵槽、蒸留釜、貯蔵樽などを使い分けながら、ライト、ミディアム、ヘビーといった多彩な個性のモルト原酒をつくり分ける、世界でもユニークな複合蒸留所として知られる。例えば、上面発酵酵母を使い、木桶発酵槽で発酵させたものはフルーティでクリーミーな香りに加え、木桶にやってくる白州の森に棲む乳酸菌などによりグングンと深く華やかなものになる。また、直火加熱式の蒸留においては標高700㍍の環境がもたらす自然の恵みにより、マイルドなモルトウィスキーが生まれる。蒸留された原酒は樽に詰められ、貯蔵庫で永い眠りにつくが、同じニューポットでも樽の種類により熟成後は味わいの異なるウィスキーに仕上がる。サントリーではオークの木で作った樽で、無色透明なニューポットを琥珀色の豊潤な香味を持つモルト原酒へと育んでいる。

 工業用品部会 防衛大学校を見学

 工業用品部会(藤井直行部会長)は10月24日、第3回工業用品部会を開催した。今回は神奈川県横須賀市の防衛大学校の見学をメインに、部会運営報告並びに第121回景況観測調査の分析結果の発表を行った。
 午前10時過ぎ、東京・築地の組合事務所前に集合した参加者一行はバスに乗車、 一路、防衛大学校に向かった。
 防衛大学校の教育課程は大学設置基準に準拠し、教養教育、外国語、体育、人文・社会科学専門に加え、防衛に関する独自の研究分野がある。学生は1・2年で専門基礎を履修し、2学年から各学科に分かれて専門科目を履修、4学年に指導を受けて卒業論文を提出する。

参加者一同で記念撮影

参加者一同で記念撮影

 学生は決められた日課に従い、規則正しい生活を送っている。朝6時に起床、点呼、清掃、朝食、国旗掲揚・朝礼、部隊行動の基礎を習得するための課業行進、午前の授業、そして昼食後は2度目の課業行進、午後の授業、部活動に相当する校友会活動、国旗降下、夕食、点呼、自習時間、午後10時30分に消灯となっている。
 同校の特色は、学生隊と言われる組織体制。入学と同時に全員が寮に入るが、共同生活を円滑にし、合わせて将来部隊においての指揮、指導、管理などの能力向上を図るため、全学生をもって編成される。学生隊は4個大隊からなり、1個大隊は4個の中隊、1個中隊は3個の小隊で編成される。1個小隊は30~40名程度からなる。
 防衛大学校を紹介したビデオを見たあと、校内施設を見学した。午後の授業に向けての課業行進の様子も見学した。

 

 ベルト・ホース部会、工業用品部会 景況観測調査を実施

 9月以降急速に悪化 先行きの予測に厳しさ示される

 東部ゴム商組(西山博務理事長)はベルト・ホース部会、工業用品部会の2部会で会員企業を対象に3ヵ月ごとの景況観測調査を実施しているが、本年7―9月期実績を境に景況が一転していることが判明した。
 これまでの調査では、売上高、利益ともに水面の50をわずかながら上回り、景気動向は緩やかながら回復基調にあったが、7―9月期実績では、売上高についてベルト・ホース部会は51・3と水面ギリギリながら、工業用品部会は38・8と一気に水面下となった。自動車部品などはエコ減税終了に伴う新車販売の落ち込み、液晶・半導体業界の低迷などが考えられ、加えて欧州や中国など世界景気の低迷などの影響も予想される。
 両部会調査の先行きの見通しについては、10―12月期予測、来年1―3月期予測のいずれも50を割り込み、年度いっぱいは厳しい経営環境が続くと見通している。
 工業用ゴム製品を個別にみると、ゴム板は、震災復興需要のインフラ整備における国・市町村、民間での需要回復の増加に期待されたが、一部の需要は期待通りだったものの計画と予算のズレで大きな回復には至っていない。型物・成形品も回復に期待されたが、世界各地域の悪化が期待を大きく下回り、とくに中国の自動車産業、家庭必需品の低調が響いた。また、欧州の金融不安やオイル資源国の政情不安が日本の活況を遅らせていると見込まれる。
 今秋から来年にかけてポリマープラントの立ち上げなどにより、需要の回復が期待される。
 新技術・新素材の開発を進め、世界に向けて日本がアピールしていくことが成長のカギになりそうだ。

 

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