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日本ゼオン 非対称SISの開発が高分子学会賞を受賞

2017年05月31日

ゴムタイムス社


 日本ゼオンは5月31日、5月30日開催の第66回高分子学会年次大会(幕張メッセ)において、同社が開発した非対称SIS(スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体)が、平成28年度高分子学会賞(技術)を受賞したと発表した。

 同大会では授賞式とともに受賞講演が開催され、橋本貞治化成品研究室長が受賞講演を行った。研究題目は「非対称スチレン系ブロック構造を有する高強度・高伸縮性材料の開発」。

 スチレン系ブロックポリマーとは、スチレンと、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエンを原料とする熱可塑性ブロック共重合ポリマーで、常温では架橋ゴムと同様の性質を示す一方、高温では可塑化されるためプラスチック加工機で成形可能となる。そのうち、同社はイソプレンを原料とするスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合ポリマー(SIS、商品名:Quintac)を製造販売している。

 SISはゴム材料、粘接着剤、耐衝撃性改良剤、成形材料として広く使われているが、近年は紙おむつ用の伸縮材料(エラスティックフィルム)の素材として使用量が増大している。さらに市場拡大とともに、フィルムの薄膜化への要求が高まり、それを実現するため「伸縮性」に加え、「強度」の向上が求められてきたが、従来の技術では相反する両特性を向上させる飛躍的な改良は困難と考えられてきた。

 しかしながら今回、スチレン―イソプレン―スチレンの両末端に位置するスチレンブロックを意図的に極端な非対称構造で偏りをもたせ、同時に低スチレン比率で両末端のスチレンが対称なスチレンブロックを混在させることにより、高スチレン由来の高強度を維持しながら高い伸縮性を両立させることに成功した。これにより従来品を使用したフィルムと比較して最大50%の薄膜化の実現が可能となり、また2種類のSISを一度に重合する手法をも開発したことで、工業化を達成し、今回の受賞に至った。

 また、非対称構造技術はエラスティックフィルムに留まらず、熱感光性フレキソ板では「印字特性」と「耐久性」の両立、粘着剤材料では「粘着性」と「打ち抜き加工性」の両立を達成するなど、従来では両立実現困難とされてきた機能付与への貢献も期待されており、今後の拡がりの可能性も評価された。

 同社では、今後も独創的技術で社会に貢献すべく、新たな技術・製品の開発に取り組んでいくとしている。

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