セイコーインスツル子会社 集束イオンビーム装置「SMI4050」を発売

2011年08月31日

ゴムタイムス社

 セイコーインスツル㈱の100%出資子会社、エスアイアイ・ナノテクノロジー㈱(SIIナノテク)は、加工スピード、加工精度、観察精度を向上した集束イオンビーム装置の新製品「SMI4050」を8月30日に発売した。

 集束イオンビーム装置(FIB装置)とは数ナノメートルまで細く絞ったイオンビームで試料表面を走査することで、ナノレベルの(1)エッチング加工(食刻)、(2)デポジション加工(堆積)、(3) 顕微鏡観察を1台で行なえる装置。

 近年、各種材料や半導体デバイス等で、より高スループットへのニーズが高まっており、それに伴いFIB装置も更なるイオンビーム光学系の高分解能化やステージの高精度化が求められている。一方で、市場の拡大により、電子部品や複合材料などの断面加工時間の短縮化の要望も増えているという。

 新製品は大電流に対応した新型イオンビーム光学系と再現性に優れた高精度ステージの搭載により、様々な試料に対し、大面積加工と高分解能な顕微鏡観察を1台の装置で行なうことができまる。また従来より定評のある操作性を改良し、断面加工やTEM試料作製作業の自動化を更に進め、オペレーターの習熟度に依存しないデータ取得が可能となっている。

 価格は7000万円~(税別)、販売目標台数は年間10台を目指す。

 SIIナノテクは1986年に日本で初めて汎用FIB装置を発売以来、FIB装置メーカーとして、従来から二次電子像分解能の向上などの高性能化や、自動化をはじめとする高機能化を進めてきた。

【SMI4050の主な特徴】
1. 大電流ビームにより加工時間を大幅に短縮

従来、数百ミクロンの大きなサイズの断面作製加工は長い時間がかかっていましたが、新型イオンビーム光学系の採用により、従来機の約2倍のビーム電流の使用が可能になり、加工作業時間を大幅に短縮しました。

2. 極低加速電圧で高品位な試料作製
TEM 試料作製には低加速電圧での仕上げ加工が必要ですが、SMI4050では0.5kV(オプション設定時)まで加速電圧を下げることで、より高品位なTEM 試料作製が可能になりました。同時に低加速電圧時の二次電子像分解能の向上により、正確かつ確実な加工を実現しています。

3.二次電子像分解能の向上
世界トップレベルのSMIシリーズの二次電子像分解能ですが、従来の加速電圧30kV時の二次電子像分解能はそのままに、SMI4050は、0.5kV(オプション)の極低加速電圧設定時にも画像を得ることができます。

4.高精度ステージの採用
高精度メカニカルユーセントリックチルト5軸電動ステージの採用により、試料観察時の位置合わせや連続TEM試料自動加工についても、より高精度な座標位置指定が可能になりました。

5.優れた操作性
「簡単操作で高精度」をキーワードに、TEM試料の自動作製など、高精度かつ習熟を必要としない自動加工を実現しました。

【SMI4050の主な仕様】
FIB二次電子分解能  :4nm
FIB加速電圧      :1~30kV (オプション設定時:0.5~30kV)
プローブ電流範囲   :0.15pA~90nA
最大プローブ電流密度:50 A/cm2
試料ステージ      :高精度メカニカルユーセントリックチルト5軸電動ステージ
試料サイズ        :50mm×50mm

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー