景況アンケート 2012年の景気見通しと業績予想

2012年08月13日

ゴムタイムス社

 昨年3月の東日本大震災の爪痕は深く、被災地沿岸部のガレキ処理が進まず、住宅や各種施設の高台移転計画も実行段階にはまだまだ時間がかかりそう。日本市場は自動車生産の堅調を背景に、タイヤをはじめ高機能ゴム部品需要が順調に生産を伸ばしていますが、欧米並びに中国市場が低迷、下期は世界的に不透明感が強まりつつあります。 本紙は今年6月時点で製造メーカー、原材料メーカー、ゴム製品卸商社に「2012年の景気見通しと業績予想」と題するアンケート調査を実施いたしました。アンケートにご協力いただきました各社に御礼を申し上げます。12年度の業績見通しにつきましては、上期の実績を踏まえ「増収」回答企業が36%、「横ばい」の回答企業は42%となり、「減収」回答企業(21%)を大きく上回っております。年明け後の日本経済は、エコカー減税を下支えに国内自動車販売がプラスで推移、生産が正常化、緩やかながらも景気は回復に向かっているようです。しかしながら、円高による輸出企業への打撃や電力問題など課題は山積しており、下期の舵取りは難しさが予想されます。ゴム企業各社は国内市場の伸びが難しい中で、高付加価値商品の開発で活路を模索、一方で海外生産拠点の一層の拡大を目指す計画です。ここでは「2012年の景況見通しと業績予想のアンケート」の結果概要を紹介いたします。

 ■景気動向
 本年6月時点における景気動向については「変化なし」が34%でトップとなり、「回復基調」の回答と「下降基調」の回答がバラけており、業種や生産品種などにより回復度合いのズレが見られるようだ。
 アンケート結果では「緩やかに下降している」が25%、「変化はあまりないがやや明るい兆し」が22%、「緩やかに回復している」は16%、「悪化している」が3%となった。
 先行きをみると、復興需要の本格化が期待される中で、回復基調は明確となることが予想される。官民合計の復興需要は12年度GDP成長率を1%程度押し上げる効果が期待され、13年度は復興需要の押し上げ効果は徐々に弱回るものと予想されるが、新興国の需要増大などにより回復基調を維持するものと思われる。
 その景気判断理由(複数回答)は「企業の収益動向を見て」が28%でトップ、次いで「設備投資の動向を見て」(18%)、「株価の動向から」「個人消費の動向を見て」(ともに13%)などの順となっている。
 現在、エネルギー政策の中で、原発の是非が問われているが、今夏の節電対策に関するアンケートでは、多くの企業から筆記回答を得たので概略紹介する。
 ▽施策としては省エネ型のエアコンへのリプレース、工場全体の蛍光灯のLED化を推進する。
 ▽ピーク時電力の抑制。夜間への振り替えを行う。
 ▽照明などの節電を実施する計画で、場合によれば振替出勤も検討する。
 ▽電力消費低減のための生産調整並びに生産効率化を推進する。
 ▽工場において、少しでも節電するために、電源未使用時には電源遮断をこまめに実施する。
 ▽7月から9月中旬まで、月火曜休日にして土日出勤を実施、電力削減、またデマンドを使用し、節電を行う。
 ▽電力消費の大きい工程の生産時間帯を消費電力の少ない時間帯に勤務体制を変更して対応する。
 12年度に期待される需要業界(複数回答)については「自動車」が23%でトップ、次いで「医療・衛生」の20%、「機械設備」14%、「土木建築」9%、「情報通信」「半導体」「その他」(いずれも7%)などの順となったが、注目されるのは「土木建築」。これまで公共投資抑制から、土木建築分野は期待されない需要先であったが、東北地区のインフラ整備をはじめ復興関連需要の期待感が表れているものと推察される。
 なお、今後の国内景気の左右する材料についての回答は「アジア・中国の景気動向」がトップで20%、以下「為替の動向」(14%)、「個人消費の動向」「米国の景気動向」(ともに12%)、「設備投資の動向」(10%)などが高率となった。

 ■業績予想
 12年度の業績予想に関するアンケートでは「増収」企業が36%、「売上高横ばい」が42%、「減収」企業が21%となった。震災並びにタイ洪水によるサプライチェーン寸断から自動車部品生産がストップ、一時大幅な減産となったが、生産体制は比較的短期に回復したことで被害は最小限に抑えられた企業が多く、業績も「増収」企業が「減収」企業を上回った。
 売上高の増減要因については、増収では「内需の回復」が37%で最も多く、次いで「新規事業・製品が貢献」「価格改定」「体制・戦略の強化」がともに16%となった。
 近年、将来を見据えた企業ビジョンを明確化、その達成のためのステップとして3ヵ年の中期経営計画を立案した企業も多く「新規事業・製品が貢献」の回答は、コアビジネス以外に周辺事業・製品をターゲットとした新ビジネスへのチャレンジに対する効果の表れであろう。また、原材料価格高騰から収益が急速に悪化、製品価格の改定も売上高に影響したようだ。
 一方、減収要因としては「内需の不振」が58%と約6割の企業が回答した。自動車や家電など大手需要家の海外生産が進む中で、ゴム部品メーカーも相次ぎ海外生産を拡大させており、結果、内需の空洞化、国内市場のシュリンクが大きな課題となっている。このほか「事業構造の見直し(撤退など)」「市場での競争激化」がともに17%となった。
 上場企業の13年3月期第1四半期決算および12年12月期中間連結決算の発表がピークを迎えたが、先行きの見通し判断は難しく、通期の業績予想は業種・製品によりバラつきがみられる。
 今後の見通しは、復興需要の本格化などから10―12月期にかけて高めの成長が予想される。13年1-3月期以降は復興需要の押し上げ効果縮小などから成長率は鈍化することが予想されるが、世界経済の回復や復興需要の民間部門への波及効果を背景に、回復基調は引き月維持するものと思われる。
 下期のゴム業界の景気見通しに対する回答は「変化なし」がトップで48%となり、ほぼ半数の企業の回答。「緩やかに下降する」が28%、「やや明るい兆し」(10%)と「緩やかに回復する」(10%)を合わせて20%となり、下期の見方はバラつきが伺える。設備投資計画は8割の企業が昨年度並みを計画、約2割の企業は積極投資すると回答した。
 先行きの輸出環境は、欧州向けの停滞はしばらく続くものと思われるが、米国やアジア向けを中心に緩やかに回復することが見込まれる。輸出の回復に伴い、国内生産も自動車を中心に回復することが見込まれる。とくに自動車生産はエコ減税終了後、国内販売は反動減が予想されており、この回復には期待がかかるところだ。13年度後半には消費税率引き上げを控えた駆け込み需要が予想され、住宅投資や個人消費を中心に再び成長路線に移るものと予想される。
 しかしながら不安材料も残されている。欧州債務危機の再燃など海外情勢次第では輸出の回復遅れが懸念される。国内では原子力発電所の再稼働が見通せない中、節電による生産への影響がリスク要因となりそうだ。

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