自動車部品企業の3月期経営動向 収益は2割超の減益に

2012年06月18日

ゴムタイムス社

 日本自動車部品工業会は6月13日、上場自動車部品企業83社の2011年3月期の経営動向をまとめた。調査企業合計の売上高は19兆959億円、前年度比0・6%増、営業利益は9153億円、同20・7%減、経常利益は9608億円、同16・9%減、当期純利益は5079億円、同22・5%減と大幅な減益となった。上期は震災による生産減が響いたが、下期以降で挽回し、年度では若干ながら増収となった。収益面は震災に加えてタイの洪水による生産減や費用増加などにより、大幅な減益となった。
 2011年の日本経済は、東日本大震災から始まり、下期以降回復基調に転じたところでタイの洪水が発生するなど、天災による影響を大きく受けた。また、震災による原子力発電所事故の影響で7~9月の3ヵ月間は自動車業界においても電力需給逼迫により全国統一で稼動日を木・金曜から土・日曜日にシフトするなど、電力需給への対応と復興も含めた生産対応との両立が図られた。
 下期以降は、部品供給体制の復旧や震災で減少した生産の挽回のため、各社増産体制を構築、第4四半期は前年度と比較して大幅な上昇となった。
 こうした情勢から、自動車部品メーカー82社の11年度連結業績は、売上高は下期以降の挽回で若干の増収となったが、利益は震災・洪水による費用増加も影響し、大きく落ち込む結果となった。下期は生産回復や完成車メーカーの在庫積み増しも含めた増産、さらには年度最終局面でのエコカー補助金などの効果で大幅な増収増益となった。
 今回の業績の特長は、売上高の増減と利益の増減が一致しない点にある。年度では微増収であるにも関わらず、利益項目は約2割程度の減益となった。これは、上期での大幅な減益を下期で挽回できなかったためであるが、震災後の電力問題への対応、夏期の生産シフト、タイ洪水での代替などの対応を図ったことが大きな要因と考えられる。
 さらに、震災で顕在化したサプライチェーンの弱点の強化、各社のBCPの見直しや耐震診断、それに対する強化、自家発電設備の導入などによるエネルギーコストの上昇も影響を与えたと、同工業会では分析している。収益構造からみても、売上原価および販管費の増加率・構成比の上昇から明らかとなっている。
 自動車部品工業会では「今後、電力コストを含めて、さらにエネルギーコストの上昇が懸念されること、また復興需要と新興国の発展による資源争奪による資源コストの上昇も考えられる。適正にこれらコストが転嫁できるような全体的な取り組みが求められる」としている。
 調査対象82社の業績動向をみると、増収企業が42社、減収企業は40社、営業利益の増益企業は16社、減益企業は66社、経常利益の増益企業は21社、減益企業は61社、当期純利益の増益企業は33社、減益企業は49社となった。
 12年度の業績予想については、売上高20兆6364億円、前年比8・1%増、営業利益は1兆1594億円、同26・7%増、経常利益1兆855億円、同23・4%増、当期純利益6988億円、同37・6%増と大幅な収益力の改善が見込まれており、営業利益および経常利益は合計で1兆円を超える予想となっている。

 

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