ダイキン工業 フッ素材料ニーズが拡大

2011年07月11日

ゴムタイムス社

燃料ホース

ダイキン工業㈱のフッ素材料需要が拡大している。自動車の環境規制強化が追い風となり、同社のフッ素ゴム、フッ素樹脂製品の販売が増加している。 自動車分野で使用されるフッ素材料は耐熱性、耐油性などエンジン、燃料系部品に必要とされるだけでなく、滑り性が良好で、回転部や摺り合わさられる部分の摩擦を低減されるなどの特性を持っているため、多くの部品に使用されている。 自動車用途で使用されているフッ素材料の6~7割がフッ素ゴムで、材料劣化によるオイル洩れや燃料透過による環境中への揮発を防ぐ利点を買われ、主に高温 エンジンルーム、燃料油、オイル等に接触する燃料ホース、Oリング、ターボエアーホース、フュエルホースなどの需要部品に使用されている。

燃料ホース(フッ素ゴム)

こうした自動車用途分野でのフッ素ゴム、フッ素製品の需要は自動車生産にスライドし、今後も拡大が見込まれるほか、各国の自動車の環境規制強化も追い風と なっている。なかでも自動車産業が急拡大する中国では、2005年に蒸散規制を導入、2010年には排ガス中の有害物質量などの規制が強化され、これら環 境規制の追い風により、フッ素材料の需要が見込める新たな市場となっている。 このため同社では自動車産業が急拡大する中国での自動車用部品での環境規制対応製品の需要増に対応するため、フッ素樹脂を生産している中国・常熟工場(江蘇省)で、フッ素ゴムの生産設備を新設し、2013年1月の量産開始を目指すと先に発表、供給力を強化する。 現在同社では国内の淀川製作所(大阪府摂津市)と仏リヨン工場(ダイキンケミカルフランス)でフッ素ゴムを生産しているが、日、仏、中国での3拠点体制となり、常熟工場での新設によりグローバルでのフッ素ゴムの生産量は6割アップとなる。

ターボエアホース

同社では急拡大する中国での需要を取り込むため、中国に設備を新設し、高品質フッ素ゴムの供給力を高め中国現地の技術サービス,成形加工メーカーとの連携 により販売力を強化する。フッ素ゴム、フッ素樹脂、フッ素塗料、電池材料などで従来型の自動車と次世代車、両方の用途で自動車関連の売上高を2010年度 実績約120億円から2015年度に200億円までに拡大させる。増加分80億円のうち半分は中国での売り上げを見込んでいる。 同社によると、中国のフッ素ゴム市場は2010年で80億円、2015年には1・6倍の130億円規模に達すると見込んでいる。自動車生産台数の伸びに加 え、環境規制(燃料透過規制)の導入を受け、燃料ホースの他素材(非フッ素=ニトリルゴム)からフッ素ゴムへの切り替え、従来輸入していたフッ素保安部品 (オイルーシール、燃料ホース)の中国ローカルメーカーを含めた現地調達への移行が拡大するとみている。 燃料ホースでのフッ素ゴム使用率は日本では60~70%であるが、中国では現在のフッ素ゴム使用比率30%が2015年には50%に、また、現地調達比率も40%から2015年には55%に達すると見込んでいる。

リチウムイオン2次電池

一方、フッ素樹脂製品では、需要が拡大する中国市場で日本バルカー工業と事業提携を行っており、両社の特長と強みを生かしたフッ素樹脂ならびに成型加工品の安定供給と価格競争力の確保を図っている。 2011年3月期における同社の全社売上高は1兆1603億円、このうちフッ素樹脂、フッ素ゴム、フッ素塗料、撥水撥油剤、半導体エッチング剤、表面コー ティング剤、エアコン用冷媒、フッ素系遮熱塗料、ファインケミカル用材料などの化学事業の売上高は1148億円。樹脂や塗料を含めた自動車関連材料の世界 売上高を、10年度の約120億円から、15年度には約200億円に引き上げる計画。 このため同社では先進国中心に、より高いレベルの環境要求に対応する最先端のフッ素材料を積極的に開発し、電池材料、超低透過材料、軽量化、など環境負荷の小さい次世代車への供給も積極的に行って行く。 フッ素材料の優位性 同社の環境規制、次世代車への対応製品は次の通り。 超低透過性フッ素樹脂「ネオフロンCPT」 超低透過性=従来の燃料配管の10倍以上のバリア性を付与。耐燃料性=アルコール燃料、バイオ燃料にも充分な耐性。柔軟性=低弾性率を維持。接着性=ポリアミド、汎用ゴムに接着可能。 フッ素ゴム「ダイエルGー9000シリーズ」 耐バイオ燃料性に優れた高フッ素含有率のパーオキサイド架橋系フッ素ゴム。従来品を改良、シール性や離型性が向上(燃料配管、シール材)。 「ダイエルCLFコンパウンド」 ポリオール架橋系でも配合技術を駆使して耐バイオディーゼル性を改善したフッ素ゴムコンパウンド。 フッ素樹脂内層 燃料タンク 金属代替で自動車の軽量化に貢献。耐燃料性=アルコール燃料、バイオ燃料にも充分な耐性。低透過性=接合部からの燃料洩れを低減。 EV・HEV対応(電池材料) 電解液・バインダー=フッ素系の溶媒、添加剤を含有することで高温・高電圧での耐久性が向上。膨潤性が低いため耐久性が向上。

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