十川ゴム 下期の需要回復に期待 環境負荷削減を積極展開へ

2011年09月14日

ゴムタイムス社

 ㈱十川ゴムの2011年第1四半期業績は、震災影響により一部復興関連製品などの需要があったものの、自動車関連製品の落ち込みが大きく、売上高は前年同期比で多少の減収となった。
 シート需要については、現在は非常に荷動きの悪い状況となっているという。しかしながら、下期に向けてはいくらか回復するものと予想し、通期では前期実績を上回ると予想している。

RoHS指令規定値をクリアする十川ゴムのシート

RoHS指令規定値をクリアする十川ゴムのシート

 こうした中で、全社的な通期業績見込みについては、自動車関係が回復してきていることに加え、下期は復興に伴う製品の動きも徐々に出てくる兆しも見えてきており、年度計画を達成できるものと予想している。
 シート事業は、原価に占める原材料ウェイトが大きく、そのため原材料価格動向が大きく影響する。そのため現状の経済情勢が非常に厳しいことを心に置き、常に原価低減に努めながらも原材料価格動向には十分注意し、最低限継続して生産できる適性な価格による販売を心がける必要があると指摘する。
 新製品開発については「世の中の激しい情勢変化の中で、シート関係の要望も日々変化してきている。顧客の必要な機能を常に先駆けて開発を進める必要性が今後さらに重要度が増してくると思われる。従って、素早い情報入手と素早い開発着手、そして素早い開発品の上市に努める」(同社)としている。
 今後避けて通れない環境負荷削減については、国内のみならず世界的規模で活発化してきており、こうした流れの中でシート製品を提供するメーカーとして、これらの基準に基づく製品造りおよび分析技術を高めていくことが使命と考えている。
 主なものにRoHS、REACH規制がある。RoHSは06年7月1日以降、EU加盟国内において電気・電子機器における6物質の特定有害物質の使用制限指令を定めたものであるが、更に08年6月に追加候補案の9物質のリストが出されている。
 十川ゴムでは、汎用シートは6物質の特定有害物質の使用制限指令をクリアしており、更に追加候補の9物質に関する削減にも努めている。加えて、REACH規制についてもクリアする製品開発を現時点で既に完了しているという。
 REACH規制は07年6月からスタートした欧州での化学物質の総合的な登録、評価、認可、制限の制度。発ガン性、変異原性、生殖毒性に関連する難分解性、蓄積性など、人の健康や環境への影響が大きいとされる46物質が公表されている。更に12年までには106物質(群)、20年までに500物質(群)となる予定。
 こうした高懸念物質(SVHC)についての材料切り替えを進めるとともに、使用化学物質の登録をメーカーとして事前に行う必要もあり、また化学物質の情報を供給者が川下使用者に伝達しなければならない。
 十川ゴムでは合成の主要品番「CPL―100(CR・NBR兼用素材)」に関して最も困難と思われる物質であるDEHPの削除、代替品の置き換えに成功。12年度には「新CPL―100」(=仮称)として、特別グレードとして在庫販売を行う予定。
 同社では「環境対策にはゴールはなく、他の素材への展開や更なる各国の規制変化に対応すべく素材開発に今後も注力していく」としている。

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