ランクセス 小澤国際室内楽アカデミー奥志賀の支援継続発表

2013年04月03日

ゴムタイムス社

 ランクセスは3日、小澤征爾氏が立ち上げた特定非営利活動法人「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀(以下、OICMA)」への支援を引き続き行うと発表し、OICMAと共同で記者会見を開催した。
 両者は2013年1月から2015年12月までの3年間を期間とする支援契約を締結し、本年1月より支援を開始する。
 OICMAは、小澤征爾氏と世界的な室内楽の指導者のもと、アジア圏の才能ある若手音楽家に弦楽四重奏を学ぶ機会を提供することを目的に2011年6月に設立された。
 同社では、CSR活動の一環として同アカデミーを設立時より支援し、その活動のサポートを行ってきた。
 2013年の主な活動として、24名の若手弦楽器奏者をオーディションにより選抜し、7月20日から7月28日まで長野県奥志賀で講習会を行う。
 また、演奏会を3公演予定しており、千秋楽のコンサートでは、7月31日に東京オペラシティコンサートホール(東京)にて開催を予定している。
 さらに、本年度からOICMAと協力して、東北復興の支援活動の一環として、岩手県、宮城県などの被災地在住の音楽を学ぶ中・高校生5名を対象に、7月29日に奥志賀高原・森の音楽堂(長野県奥志賀)で行われるコンサートに招待する。
 今回の支援継続について、アカデミーの理事長である小澤征爾氏は、「教育と音楽の重要性について認識を共有するランクセスとともにパートナーシップを継続できることを大変よろこばしく思う。
 作曲家が四重奏を作る時は、非常に真面目に、音楽性の中心だけを考えて作曲していると僕は考えている。四重奏を勉強することにより、その作曲家の真髄に触れることができると思う。
 音楽の真髄でもある四重奏だが、世の中に派手に出たことはあまりなく、目立たない音楽だったが、ランクセスの方々がその重要性をわかってくださったことは、非常にありがたいこと」と述べた。
 また、自身の体調については、「こうやってやってるぐらいなので、体調はいい。昔は食道がんは大病。僕はラッキーな方です」と回復ぶりを報告した。
 今後の教育活動については「OICMAがあり、小澤征爾音楽塾などもあり、教える方はこれで手一杯。これ以上はできないと思う。本職の指揮活動も少しずつ戻すことになるが、それによって今の教えることのエネルギーを減らすこと全くない」と教育活動への熱意を見せた。
 ランクセスの代表取締役社長であるペーター・ワインマールは今回の支援継続について「次世代のためにより良い、持続可能な未来を創る支援をすることは弊社の使命と考える。若手音楽家の潜在的能力を引き出す小澤氏の取り組みは、ランクセスの持続可能な企業としての使命に完全に一致しており、我々はこの取り組みに大変誇りを感じている」と述べた。
 2013年「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」概要 講習会
▽日程=2013年7月20日~7月28日▽場所=奥志賀高原・奥志賀スポーツハイム▽指導=小澤征爾・川崎洋介(ヴァイオリン)・川本嘉子(ヴィオラ)・原田禎夫(チェロ)
 演奏会スケジュール
講習会で課題曲として出された弦楽室内楽曲と弦楽合奏曲を、オーディションにより選ばれたアカデミー受講生が演奏する。
①長野県山ノ内中学校=2013年7月28日②奥志賀高原・森の音楽堂=2012年7月29日③東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアル=2012年7月31日

 ランクセスはドイツで行われている「ランクセス・ヤング・ユーロ・クラシック(YEC)」の活動、シンガポールの「シンガポール・ナショナル・ユース・オーケストラ(SNYO)」の支援、「ランクセス中独ヤング・ユーロ・クラシック(YEC)」による中国公演など、世界各地で音楽活動への取り組みや後援を通して、若手音楽家の支援を行っている。
 日本においては、OICMAの支援活動のみならず、2011年より小澤征爾氏が総監督をつとめる「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」のプログラムの1つである「青少年のための
オペラ」を単独スポンサーとして協賛しており、小澤征爾氏と共に若手音楽家の支援を行っている。
 2011年10月には「ランクセス日独ヤング・ユーロ・クラシック・アンサンブル(YEC)」の初来日をサポートし、日独の若手音楽家による日独交流150周年記念イベントでの公演、ならびに東日本大震災からの復興を願い、福島県いわき市アクアマリン福島にて、被災者の方々を招いた演奏会を支援した。

 

記者会見の様子

記者会見の様子

握手するヴェルナ・ブロイヤス経営委員メンバーと小澤氏

握手するヴェルナ・ブロイヤス経営委員メンバーと小澤氏

小澤征爾氏

小澤征爾氏

ペーター・ワインマール代表取締役兼CEO

ペーター・ワインマール代表取締役兼CEO

小澤国際室内楽アカデミー奥志賀の副理事長原田禎夫氏

小澤国際室内楽アカデミー奥志賀の副理事長原田禎夫氏

ペーター・ワインマール代表取締役兼CEO 挨拶

 皆様方には、本日はお忙しい中、ランクセスの記者会見にご出席賜り、厚くお礼申し上げます。
私は、ランクセス株式会社の代表取締役兼CEOのベーター・ワインマールと申します。
 著名な指揮者である小津征爾氏とこの場に同席できることを大変光栄に思います。
 そして、小澤国際室内楽アカデミー奥志賀の副理事長で、高名なチェロ奏者である原田禎夫(はらだ・さだお)氏もご一緒できることを大変嬉しく感じております。
 本日は、同アカデミーの理事である、太田圭(おおた・けい)氏もご出席いただいております。
もちろん、この重要なイベントのために、ドイツから来日しました、ランクセスの経営委員会メンバーのヴェルナ・ブロイヤスも同席しております。
 小澤征爾氏は、日本の宝であり、世界の宝であると称されます。
おそらく小澤氏ほど世界的に評価され絶大な人気を誇る音楽家は他に類を見ないと確信しております。
パリオペラ座の演奏、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとする多くのオーケストラでの素晴らしい指揮、そして、約30年にわたりボ
ストン交響楽団の音楽監督に就任され、世界的な評価を確立されました。私達はみな、小澤氏の世界レベルの音楽活動から感動を得ています。
巨匠小澤氏の演奏を聴くたびに大きな喜びを感じるのは、私だけではありません。小澤氏の音楽への情熱を感じるからです。
また、私は、昨年開催されたOICMAコンサートに出席させていただいた時、巨匠小澤氏が育成する若手音楽家の技術と
芸術性に驚かされました。
 小澤氏が情熱ある若手音楽家と取り組む素晴らしい芸術活動を支援できることは、ランクセス従業員一同、たいへん誇りに思っています。
皆様ご存知のように、ランクセスは、ドイツに本社をおく世界有数の特殊化学品メーカーです。
この会場には、なぜ特殊化学品メーカーであるランクセスが音楽や若い音楽家を支援するのか、と感じておられる方もいらっしゃることと思います。
その理由は、ランクセスも、次世代のためにより良い、より持続可能な未来を創る支援をすることを使命と考えているからです。
ランクセスは、そのために様々な活動を行っています。その中でも、ランクセスが推進する「グリーンモビリティ」と「エコタイヤ」は、若者の未来を創造する上で特に重要なことである
と考えています。この取り組みによって、CO2排出量を削減し、エネルギーを節約することができます。そして飛躍的に、持続可能な技術発展を可能にします。
 ランクセスは、若者のより明るい未来を築くことに貢献したいと考えています。
若手音楽家の潜在的能力を引き出す巨匠小津氏のこの取組みは、ランクセスの持続可能な企業としての使命に完全に一致しています。こういった理由から、ランクセスは巨匠小澤氏と共に取り組んでいくことに大変誇りをもっております。
ご清聴有り難うございました。

ランクセスAG 経営委員メンバー ヴェルナ・ブロイヤス 挨拶

皆様、こんにちは。
本日はご出席を賜り、厚くお礼申し上げます。
小澤征爾氏が取り組まれている才能ある若手音楽家の育成と潜在力を引き出す意義深い活動を、ささやかながら支援できることは、ランクセス従業員一同、大変光栄に感じております。
 若手音楽家の育成は、小澤氏の長年の輝かしいキャリアにおいて不可欠の要素となっていることはよく存じております。
「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」において、小澤氏の指導は若手音楽家の育成に欠かせない存在になっています。
後ほど、小澤氏と同アカデミーの副理事長の原田禎夫氏から、現在の活動について皆様にご紹介いただきます。
しかし、少しだけお時間を頂きまして小澤氏とランクセスとの現在のパートナーシップの背景についてご紹介をさせていただきます。
 特殊化学品メーカーであるランクセスは、世界で事業活動を展開し、2012年度も大いなる活況の年となりました。
 躍進するグローバル企業として、ランクセスは、責任ある企業市民として、可能な限りの社会貢献(還元)に取り組んでい
ます。
 ただし、私達はすべてに取り組むことは不可能です。そこで、ランクセスは、その企業としての特性や価値観に合った文化的および社会的取り組みに焦点をあてて支援を行っています。
 優秀な若者を育成することは、ランクセスの企業文化の一部です。
 持続可能な成功には、急速に変化する世界において、未来を創る新しい技術や革新的な製品を開発する優秀な若手化学者を見いだし、育成する必要があります。
 ビジネス、文学、音楽など多くの分野においても、才能ある若者を見いだし、彼らが大きな成果を挙げるための支援をすることは極めて重要なことです。
 次の本田宗一郎氏を見いだし、次の村上春樹氏を見いだし、そして次の小澤征爾氏を見出していくために、ランクセスでは、若者を育成する重要性を認識しています。
 このような理由から、ランクセスは、文化的取り組みとして、才能ある音楽家が技術向上を図り、世界のトップレベルの芸術家から学ぶ機会を得るプログラムに集点を当てています。
 ランクセスは、世界中で才能ある若手を対象とした多くの素晴らしいプロジェクトに関わっています。
 2006年から、「ランクセス・ヤング・ユーロ・クラシック・オーケストラ」を支援しています。ベルリンで設立された「ヤング・ユーロ・クラシック」は、異なる文化背景を持つ熱意ある若手音楽家で構成されています。
 例えば、「ランクセス中独ヤング・ユーロ・クラシック・オーケストラ」は、中国とドイツの優秀な若手音楽家を一堂に集めています。過去5年間で、この素晴らしいオーケストラは、中国の数々の有名なコンサートホールにおいて公演を行い、また、中国とドイツのトップレベルの政治家の前で演奏しています。
 インドの「ランクセス印独・ヤング・ユーロ・クラシック・オーケストラ」は、インドとドイツの音楽家で構成されています。最近
のコンサートでは、ドイツのアンゲラ・メルケル首相をはじめ、多くのインドの政治家のご出席を賜りました。
2011年10月には、ここ東京で、日独交流150周年を祝うイベントにおいて「ランクセス日独ヤング・ユーロ・クラシック・アンサンブル」の初来日公演を支援しました。その際、福島県
いわき市において、2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災者の方のための演奏会も行っています。
 来月、「ランクセス・ヤング・ユーロ・クラシック」はブラジルで、伯独友好年の一環としてブラジルで公演を行う予定です。
 ランクセスは、シンガポールの「シンガポール・ナショナル・ユース・オーケストラ(SNYO)」と6年間のパートナーシップを結
んでいます。このプログラムは、シンガポールの教育省とのパートナーシップの下、8歳から21歳の子供達に国際的に活躍するクラシック音楽家と共に勉強し演奏する貴重な機会を提供します。フレンチホルン奏者のスチュワート・ローズ、フルート奏者のアンドレア・グリミネヅ」、バイオリン奏者のララ・セントジョンをはじめ、多数の音楽家が名を連ねています。
 ランクセスの最近の音楽への取り組みでは、ピッツバーグ・シンフォニー・オーケストラや米国の若手室内オーケストラである「ザ・ナイツ」など優れたアンサンブルのツアーのサポートなども行っています。「シンガポール・ナショナル・ユース・オーケストラ」の数人の若手メンバーが勉強と演奏のためにこの革新的なアンサンブルである「ザ・ナイツ」のドイツツアーに同行しています。
 しかし、ランクセスが最も身近に感じているのは、日本において小澤征爾氏が取り組んでいる2つの主なプロジェクトです。
 2011年に、小澤氏が総監督を務める「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」のプログラムの1つである「青少年のためのオペラ」の単独スポンサーとして協賛を開始しました。このプログラムは、小澤氏によって設立された小澤征爾音楽塾が演奏しています。ランクセスの3年間の支援を通して、日本の若手音楽家をサポートし、毎夏開催されるこのオペラ公演に長野県在住の6000人を超える学生を招待しています。
この1年目の取り組みは大変感動的で、私達はその後2011年に小澤氏より、「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」の設立のための支援を要請されたことは光栄なことでした。
 ランクセスは、小澤氏の意義ある活動と、原田禎夫氏など著名な音楽家の参加を支援してまいりましたが、本日は、それに続く発表をさせていただきます。ランクセスは、「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」への支援を引き続き3年間行うことを発表します。
 また、3年間の支援に加えて、このたび東日本大震災の復興支援の一環として、岩手県および宮城県の被災地で音楽を学ぶ中・高校生を対象に、7月に開催されるOICMAのコンサートに招待いたします。このプログラムでは、コンサート鑑賞だけでなく、OICMAの講習会の見学を通して、世界トップレベルの指導を体験する機会を提供します。
ランクセスは、小澤氏とさらに新たな協力関係がスタートすることを大変楽しみにしています。
 この新たな支援は、若手の才能を最大限に引き出すことへのランクセスのコミットメントを表しています。 そして、世界で最も偉大な音楽家の1人である小澤征爾氏の母国、日本へ
の継続したコミットメントも表しています。
では、今から小澤氏より、アカデミーや若手音楽家との活動についてお話いただきたいと思います。

 

 

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