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景況アンケート 2012年景気見通しと業績予想

2012年02月01日

ゴムタイムス社


メーカー、商社にアンケート

 「国内は東日本大震災からの復興需要、 海外は新興国の自動車産業の発展に伴い、 自動車ゴム部品の需要増大に期待する」。 ゴム企業各社は厳しい経営環境の中で成長 分野、成長市場での付加価値商品の投入に より、売上高、収益の確保を目指す考えだ。 本紙は昨年 12 月時点で製造メーカー、原材 料メーカー、ゴム製品卸商社に「2012 年の景気見通しと業績予想」と題するアン ケート調査を実施した。アンケートにご協 力いただきました各社に御礼を申し上げま す。企業は東日本大震災や増税問題、円 高、海外経済の減速など、景気動向の先読 みが難しい状況に直面し、様々な懸念を抱 える中で経営努力を続けている。震災復興 需要は政府の強力な経済施策の裏打ちが重 要であろう。ゴム企業各社は国内市場の伸 びが難しく、付加価値のある商品開発で生 き残りを模索、一方で汎用製品などは海外 拠点での生産 を伸ばす方針 だ。ここでは、 2012年の 景況見通しと 業績予想のア ンケート結果 を紹介いたし ます。

(3215号紙面にグラフ掲載あり)

景気動向 景況は横ばいから回復基調へ

 調査を実施した昨年12月時点の景気動向については「緩やかに回復している」が44%を占め、半数近くに達した。「変化なし」および「やや明るい兆しが見える」を加えると76%となり、景況感としては力強さは欠けるものの回復基調にあることが伺える。「拡大している」の回答も3%ながら指摘され、震災からの早期の復旧や復興の表れとも受けとれる。反面、後退局面を示す「緩やかに下降している」の回答は15%であった。
 調査機関調べによる2012年の景気見通しを企業の規模別でみると「回復」の割合は大企業(301社)と中小企業(906社)では、比較的大きな差はみられないようだが、「悪化」の割合は大企業(751社)よりも中小企業(2823社)のほうが約5ポイント高いことが判明した。とくに小規模企業(913社)は4割近くに達しており、規模の小さい企業ほど本年の経済状態を厳しく見ているようだ。地域別では、北海道で「悪化」が4割を超えたほか、近畿地区や中国地区、九州地区が全体を上回っており、総じて西日本地域で悲観的な見方を示す企業が多い。
 景気動向の判断理由(重複回答)については、過去のアンケート調査と同様の傾向を示しており「企業収益の動向を見て」が72%でトップ、以下「個人消費の動向を見て」(42%)、「輸出の状況から」(22%)、「株価の動向から」(19%)などが上位項目となった。
 緩やかながらも回復局面にある現在、国内の景気動向を左右する材料を企業はどのように見ているのだろうか。調査結果(重複回答)を見ると、指摘された項目は多岐にわたり、判断材料が複雑化し、先行きを見通すことの困難さが理解できる。
 上位項目を見ると「アジア・中国の景気動向」が60%と過半数で、グローバル展開の重要性を認識し、海外市場の動向を注視していることが判明。このほか「為替の動向」が46%で輸出型企業にとっては最も気になる項目といえよう。
 以下は「原材料価格の動向」(43%)、「米国の景気動向」および「設備投資の動向」がともに34%、「個人消費の動向」が29%。
 震災からの本格復興が期待される2012年。ゴム企業が需要増大を見込む市場分野については「自動車」がトップで49%、次いで「土木建築」が23%となったが、東北地方を中心としたインフラなど復興関連需要が中心。このほか「住宅」「機械設備」がそれぞれ20%、「医療・衛生」(14%)、「半導体」(11%)などとなっている。

業績予想について

タイ洪水 8割の企業が影響受ける 次期の業績は改善基調に

 各社の業績予想に関するアンケート結果は「増収」が20%、「横ばい」は75%、「減収」が5%となり、横ばい予想が大勢となった。
 昨年3月の東日本大震災により、一部のゴム原材料メーカーおよびゴム薬品メーカーが被災し、加工メーカーは原材料調達で混乱が生じ、輸入原材料の手当てに動いた加工メーカーも見受けられたが、材料供給は比較的短期で元に戻った経緯がある。
 設備投資計画については「昨年と変わらない」が37%でトップ、投資を実施する企業では「合理化・コスト削減」投資が27%、「生産能力増強」が11%、「研究開発」投資が6%などとなっている。
 企業業績は大きな改善は難しい局面にあるようだが、ゴム業界の景況見通しについては明るさが表れつつある。市場別にみた需要の好・不調予測は「自動車産業」が復興需要を背景に好調分野と回答した企業の割合が増加、「土木・建築」は不調から一転し、好調だと指摘した企業が目立つ。東北地域を中心に復興需要の拡大が見込まれる。
 「OA機器」は好調と回答した企業は少数派で、不調との回答が目立った。「医療関連」は好調、不調がほほ半々で「設備関連」は好調が大きく不調を引き離し、「住宅」は不調との回答が大きく伸びている。
 調査機関調べによる景気回復のために必要な政策については「円高対策」が最多との結果が出ているが、ゴム企業も海外生産を強化しているものの輸出型企業も多く、為替動向が業績に与えるインパクトは大きなものがある。
 具体的には「デフレを解決することで早期の円高解消」など、円高対策を求める声が多い。東日本大震災の被災法人は「期限付きでも良いので減税を望む」との声や「TPPの推進と被害業種に対する構造支援」など、震災被害への迅速な処理や企業の競争環境の整備などが求められているようだ。
 グローバル展開を強化しているゴム企業にとって、アジア、とりわけ中国市場の動向は引き続き注視している。中国市場の動向についてのアンケート結果は「成長が鈍化する」が79%でほぼ8割の企業が指摘、「後退局面」8%、「変化なし」7%となった。「今後も大きく成長する」は6%で、人件費の上昇などを背景に、ベトナムなどでの生産活動が活発化しつつある。
 日本の景気が回復するための政策については「円高対策」が一番求められているようだ。ゴム産業においても輸出製品が多く、収益面で気がかりなところ。また「法人向け減税」や「雇用対策」「公共事業費の増額」などが上位にあげられている。
 企業経営を考える上で、本年は国内では震災復興需要、さらに海外では新興国など成長市場での生産拡大と販売増というのが各社一致した方針のようだ。

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