2011年10大ニュース…東日本大震災でゴム産業界にも打撃

2011年12月22日


1位

東日本大震災でゴム産業界にも打撃

2011年3月11日、午後2時46分ごろ、宮城県沖を震源地とする東日本大震災が発生。マグニチュード9・0と国内観測史上最大の地震は、人的、インフラ被害のほか、事業所の直接被害による操業停止、サプライチェーンの寸断による部品調達に支障をきたし、自動車産業を中心に減産を余儀なくされた。ゴム産業界においてもタイヤメーカーをはじめ自動車用ゴム部品、電子部品、工業用品メーカー、合成ゴム、カーボンブラック、ゴム薬品などの原材料生産拠点が震災に加えて津波の影響で操業停止を余儀なくされ、その後の生産活動に大きな影響を与えた。

震災直後は部品供給の停止等によって、多くの企業は手元の原材料・部品在庫の取り崩しの範囲内で生産活動を余儀なくされたが、被災地周辺の工場の再開によって制約された部品供給を他地域で代替しながら生産回復に注力。節電対策などで夏場の節電の厳しさを見越して6月以降在庫を積み上げて、7~9月は生産抑制・在庫取り崩しで乗り切った企業も多い。震災は部品欠品によるサプライチェーンの寸断という事態を招き、サプライチェーンの全体像、代替可能な部品、素材の確保、バックアップ体制の整備などサプライチェーンの有り方見直す契機となった。

2位

タイヤ、工業用ゴム部品のインド進出が本格化

  世界経済のグローバル化が進展するなかで工業品メーカーのインド進出が本格化してきている。

 3月にはバンドー化学が約20億円を投資し、インド南部のバンガロール市に新工場を設立すると発表した。インドでの2輪スクーターおよび乗用車用ベルトの需要増大に対応する。2013年年初の操業開始を目指す。

 7月には三ツ星ベルトが、インドムンバイに自動車用ベルトの新工場を建設すると発表した。インドには、日系および外資系自動車メーカーが数多く進出しており、今後の成長が見込まれ、タイムリーで安定した供給体制を構築する上での最初の生産拠点となる。2012年からの操業を計画している。インド拠点の売上高は、5年後に5~10億円を目指す。

 8月には積水化学工業が、ディプティー・ラル・ジャッ・マル社とインドで合弁会社を設立したと発表した。

 新合弁会社はインド国内において、日系2輪メーカーとの取引を拡大し、将来的には4輪メーカーも視野に入れて活動していく。事業目標として、2011年8月に生産・販売を開始し、2013年度には売上高30億円を目指す。

 また、東海ゴムが2009年からバンガロール市近郊で建設を進めていた自動車用防振ゴム工場がこのほど竣工、2012年初頭から本格生産を開始する。自動車用防振ゴムの生産拠点として海外7ヶ国に10拠点を展開することとなる。

 住友ゴムの池田社長は8月の2011年12月期中間連結決算発表の席上で、インド工場建設については今年中に決定し、報告できるのは来年上期ぐらいになるだろうと、述べている。

 インド自動車部品工業会では、自動車部品市場は07年度の180億㌦から15年度には400億㌦まで成長するとの予測を発表している。インド国内に自動車部品の調達事務所を設置する企業が年々増加しており、日欧米韓の自動車メーカーをはじめとして約100社が進出しているといわれている。

3位

低燃費タイヤの開発競争が加速

国内大手タイヤメーカーは、東京モーターショーに合わせて次世代タイヤの試作品・技術、低燃費タイヤを相次いで発表した。

 ブリヂストンは、これまでのタイヤとは全く異なるコンセプトの非空気入りタイヤ(エアフリーコンセプト)技術の開発に成功した。特殊な樹脂を編み目状に張り巡らせて重さを支える構造で、素材は100%リサイクルできる。また、「ラベリング制度」最高グレード(低燃費グレードAAA、ウェットグリップ性能a)を達成した「ECOPIA EP001S」を紹介した。

 住友ゴム工業は「100%石油外天然資源タイヤ」のプロトタイプタイヤを出品。また、低燃費タイヤブランド「エナセーブ」のフラッグシップモデルとして、ラベリング制度の転がり抵抗性能で最高ランク「AAA」の低燃費タイヤ「エナセーブ PREMIUM」を展示。

 横浜ゴムは、「環境+人、社会にやさしい」グローバルコンセプト「BluE arth」から低燃費タイヤに力強い走りをプラスした「BluEarthーA」を展示。「ダブルシリカ配合の専用ナノブレンドゴム」により、ハイレベルなウェット性能に加え、低燃費性能と耐摩耗性能の両立を実現した。

 東洋ゴム工業も12月1日、ラベリング制度における転がり抵抗性能「AAA」/ウェットグリップ性能「b」を達成したタイヤ「NANOENERGY(ナノエナジー)」を開発したと発表。同社乗用車用タイヤの新たなブランドとして位置づけて展開していく。

4位

ISO/TC45国際会議が横浜で開催

 ISO/TC45(ゴム分野)の国際会議が10月17日から21日にかけて神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催された。日本での開催は2002年の京都会議に続く2回目となり、参加国は例年の国際会議を上回る過去最高の世界17ヵ国、約160名が参加した。昨年10月のオランダ国際会議で日本が引継いだTC45/SC2(物理試験法/化学試験方法)の幹事国として、初めての国際会議となった。

 同会議は日本工業標準調査会と日本ゴム工業会・ISO/TC45国内審議委員会の共済により開催されたもので、ISO/TC45国際会議は1947年に設立され、1948年に第1回会議が英国で開催されて以来、今年で59回目を迎える。

 ISO/TC45は現在420件の規格を有しており、横浜国際会議では,大小40ほどの会議の中で、約180件のISO規格を審議、昨年に引き続き、日本が29規格についてプロジェクトリーダーを務め、建築ガスケット、グローブ(ゴム手袋)及びゴム引き布など新たに参加した製品分野でもJIS規格とISO規格の整合化に着手しており、プロジェクトリーダーとして国際標準開発をリードした。また、今国際会議では、ゴム産業における環境対応テーマとして、再生ゴム、リクレームゴムの使用を拡大するための規格テーマが検討され、環境対応におけるワーキンググループの設置が提案された。

 

5位

建築免震用積層ゴム支承がJIS化

経済産業省は、建築免震用積層ゴム支承の品質、試験評価方法等を標準化し、その普及促進に貢献することを目的として、日本工業規格(JIS K6410―1、―2 建築免震用積層ゴム支承 第1部:仕様、第2部:試験方法)を8月22日に制定・公示した。

 経済産業省としては、これらのJISの制定によって、国内、さらには国際市場においても、日本の優れた免震建物が適正に評価され、その普及が促進されることを期待するとともに、免震技術、積層ゴム支承の更なる技術開発の促進に寄与することを期待している。

地震の多い我が国は、免震用積層ゴム支承の品質、製造方法及び試験評価方法に関して世界トップレベルの技術力をもっている。阪神淡路大地震において、免震ゴムの有効性が実証されて以降、免震ゴムの国内市場は拡大しつつあるものの、生産者・使用者間でその品質、要求特性及び試験評価方法について共通の指標がなく、そのため製品がもつ性能を客観的に評価することが困難な状況にあったことから、早期のJIS制定が望まれていた。

 JISが制定されることによって、建築免震用積層ゴム支承の性能に関する客観的な評価指標及び評価方法が示されることとなり、建築物の設計・施工に係わる企業だけでなく、使用者側においても、製品性能や品質について客観的評価に基づく判断や比較検討が可能となり、その結果、建築免震用積層ゴム支承に対する信頼が高まり、一層の普及が図られることが期待されている。

また、国際市場においても、日本の優れた免震建物が適正に評価され、その普及が促進されることを期待するとともに、免震技術、積層ゴム支承の更なる技術開発の促進に寄与することを期待している。

6位

ブタジエン価格が高騰、過去最高に

合成ゴムの原料となるブタジエンは、ナフサ分解で生産されるエチレンの副生産物として発生。近年、ナフサ分解に代わり、エタン分解からのエチレン生産が増加しているため、ブタジエンが生産されず、急増するタイヤ用需要に追い付かなくなってきているのが実情。特に新興国では今後ブタジエンの供給が急速に逼迫していくことが予想されており、ブタジエンの海外価格が高騰。プラッツ社指標によると、7月15日、FOBコーリアでトン当たり4 3 0 0㌦、CFRサウスイーストアジアでトン当たり4100㌦と過去最高値を付けた。価格高騰の背景には、アメリカ クラッカーのライトフィードへの移行、アジアのエチレンクラッカーの定修、台湾のフォルモサプラスチック(FPC)、シンガポールシェルのクラッカートラブルー等によりブタジエンが供給不足となったことが要因として挙げられている。

足元、アジア価格は乱高下しているが、旺盛なタイヤ需要で需給は依然逼迫している。このため、合成ゴム各社は秋口からブタジエン価格高騰を理由に値上げを打ち出し交渉を進めているが、合成ゴム原料価格の値決めはこれまでのナフサ連動からブタジエン連動に移行しつつある。

7位

ブリヂストンが市販用ランフラットタイヤを市場投入

 ㈱ブリヂストンはランフラットタイヤを初めて市販用として発売した。環境意識の高まりにより、車両の軽量化や小型化が加速する自動車業界において、同社はスペアタイヤ(応急用タイヤ)を不要とするスペアタイヤレス化をランフラットタイヤの普及で大きく前進させることができるものと確 信、ランフラットタイヤの拡販を目指す。市販用の商品名は「ポテンザS001RFT」。サイズは全4サイズ。 同社はパンクした際の走行安定性などで、ランフラットタイヤに大きな優位性があり、スペアタイヤレス化の最適解であると考えている。パンクした際に危険な路上作業を必要とせず、安全な場所まで移動できること。路面と接するタイヤトレッド部だけでなく、タイヤサイド部の損傷に対してもパンク時走行が可能なこ となどが理由だ。 全ての車両のスペアタイヤレス化が実現すると、新車に装備されている年間約5900万本のスペアタイヤが不要となり、省資源化に貢献する。また、スペアタイヤのライフサイクル(原材料採取から廃棄に至るまで)において排出される年間約200万㌧のCO2が削減される。さらに、スペアタイヤと組み合わせるホイールも不要になり、これ以上のCO2排出量削減が可能となる。 地球規模で環境意識が高まり、車両の軽量化や小型化が加速する自動車業界において、同社はランフラットタイヤの採用拡大によりスペアタイヤを不要とするスペアタイヤレス化を前進させることができる、としている。

8位

3月期中間業績は約7割が減益決算に

 主要上場ゴム関連企業25社の12年3月期第2四半期連結決算は、今年3月の東日本大震災の影響が業績に響いた企業も多く、上期の業績は総じて低迷基調となり、25社中17社(約7割)が減益決算となった。 円高を背景に輸出型企業の収益悪化が懸念されるが、景況は持ち直しつつあり、通期の業績予想は約半数の12社が増収増益を見込んでいる。

 合成ゴム大手2社を含む25社合計の売上高は1兆3606億6900万円となり、前年同期(27社合計)との対比では18・6%減となった。中間業績の内訳をみると、増収増益企業が7社、増収減益企業は7社、減収増益企業が1社、減収減益企業が10社。

 需要面は、震災の影響で自社工場が被災し、生産がストップし、直接的な影響から減収となった企業もあり、間接的にはサプライチェーン問題から材料の入手が困難に陥り、減産を余儀なくされた企業も目立った。また、一方、収益面では販売数量減に加えて、輸出比率の高い企業は急激かつ大幅な円高により収益が悪化、さらに、原材料価格高騰を製品価格の改定などでカバーし切れず、減益となった企業もある。

 震災から8ヵ月が経過し、被災企業も生産再開するなど順調に復旧が進んでおり、ゴム製品需要も回復基調で推移している。こうした中で、通期の業績予想については順調な回復を見込んでいる企業が多く「増収増益」予想企業が12社、「増収減益」予想企業は4社、「減収増益」予想企業は1社、「減収減益」予想企業は6社となっている。

 なお、25社合計(うち2社は未確定)の通期連結売上高は2兆8121億5000万円、経常利益は1842億4000万円となっている。

9位

原材料価格高騰でゴム製品の価格改定相次ぐ

 原油・ナフサ価格の高騰を背景に、石化原材料価格が上昇を続けている。企業努力によるコスト吸収が限界に達し、タイヤをはじめ工業用ゴム製品の値上げが相次いだ。

 タイヤでは、タイヤの原材料である天然ゴム相場が高値水準で推移しているほか、合成ゴムやカーボンブラック、各種配合剤などの石油化学系原材料価格が上昇したのに対応。

 ブリヂストン、横浜ゴム、東洋ゴム、住友ゴム、日本ミシュランタイヤ、日本グッドイヤー、ピレリージャパンの各社が乗用車用タイヤの値上げを打ち出した。値上げ幅は各企業とも平均7~10%の間で行っている。

 工業用ゴム製品では、コンベヤベルト、油圧ホース、樹脂ホース、伝動ベルト製品を中心に値上げ発表が相次いでいる。ブリヂストンは本年4月の一次値上げに次いで、この10月からコンベヤ、油圧ホース、各種産業資材の価格改定を実施する。天然ゴム価格の高止まりに加え、合成ゴム、カーボンブラックなどの石油化学系原材料の価格も高値が続いている。ゴム使用比率の高いコンベヤベルトではブリヂストン、横浜ゴム、バンドー化学、三ツ星ベルト、ニッタの各社がそれぞれ5~15%アップの価格改定に踏み切っている。

10位

ゴム連合が非正規労働者問題取り上げ労使懇を開催

 ゴム連合は7月、京都国際ホテル(京都府)で第44回ゴム産業労使懇談会を開催した。東日本大震災でゴム産業界も大きな被害を受けたことから、被災状況と復興・支援活動状況がゴム連合、日本ゴム工業会からそれぞれ報告された。また、今回は非正規労働者問題の課題を取り上げ、アンケート調査結果の現状が報告され、処遇改善を含めた新たな方向性を取りまとめ、ステップアップを図ることを確認した。

2011年10大ニュース…東日本大震災でゴム産業界にも打撃

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