中国タイヤメーカーが苦境―中国証券報

2011年11月09日

ゴムタイムス社

4日付中国証券報が伝えたところによると、中国国内のタイヤメーカーが、天然ゴム価格の下落や海外ブランドの台頭で苦境に陥っている。2010年9月にはタイヤ産業のより良い発展を目指す「タイヤ産業政策」が発表されたものの、実際には機能しておらず状況はますます厳しくなっている。

   国内の天然ゴム価格は11年に入り徐々に下落している。今年第1四半期(1ー3月)の取引価格は1トンあたり3.7万元だったが、9月には2.8万元にまで落ち込んだ。業界の関係者は「原材料価格が下がれば一般的に収益が増えるものだが、自動車販売台数の低迷でタイヤの需要が減った上、値下げ競争によって業績が悪化している」と話す。

   一方の海外メーカーは、中国国内の生産規模拡大に積極的だ。伊ピレリタイヤは3億ユーロを投じて合弁工場を建設する計画で、年間生産能力はラジアルタイヤ1000万本、スチールタイヤコード10万トン、年間売上100億元を目指す。クーパータイヤは12年から中国での販売に着手する計画で、独コンチネンタルAGやブリジストンも中国での生産拡大を検討中だ。14年には中国が米国を抜き世界最大のタイヤ市場になると言われており、海外ブランドが国内タイヤ市場の80%超を握る。

   11年の世界のタイヤ産業への累計投資額は97億ドルに達し、過去最高を記録した。投資先の3分の2がアジア太平洋地域で、このうち中国が35億ドル以上を占める。今年新規稼働する工場は中国を除いて16カ所あり、生産能力は1日あたり37万本、このうち乗用車やSUV用タイヤが32.5万本を占める。

   国内の上場タイヤメーカーの責任者は「国内市場では海外ブランドに押されセールスが伸びず、海外輸出を狙っても反ダンピング措置で利益がない状態だ」と話す。自動車メーカーに直接納品するタイヤは基準が厳しく、技術力のない国内メーカーに採用の見込みはないという。買い替え用の低価格商品で勝負するしかないが、し烈な価格競争に疲弊するばかりだ。

   当局は10年9月に「タイヤ産業政策」を発表し、業界の再編や合併を含めた産業構造の調整と体質強化を求めた。しかしアナリストは「政策が全く機能しておらず、国内メーカーの助けになっていない。当局は研究開発を重視するが、実際には価格競争から抜けられず予算を割けない状態だ」と述べ、当局の早急な対応と救済を訴えている。

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