【コラム連載シリーズ】世界のゴム事情25 シンガポールのゴム産業(後編) 加藤進一

2018年06月08日

ゴムタイムス社

 前回に引き続き、後編でもシンガポールのゴム産業の現状について、紹介します。

 シンガポールには、低燃費タイヤの必要なS―SBR合成ゴムの日系工場がたくさんあります。

 たとえば、旭化成、日本ゼオン、住友化学(現在は2社が合弁でZSエラストマーとなりましたが工場は別々です)などがあります。これらはシンガポールの市内から30分ほど離れたジュロン島にあります。この島は石油精製、石油化学の島です。島には80社以上の石油、石油化学、化学工場があり、世界3大石油精製基地のひとつになっています。その中には、とにかく広く、そこら中に世界の大手石油化学工場があります。日系の合成ゴム3工場以外にもARLANXEOのBR工場、EXXONMOBILのブチルゴム工場もあります。この島の警備が厳重で、事前申請して許可をもらわないと島に入れません。島の入口にはゲートがあり、パスポートと引き換えに顔写真、指紋データ付きのIDカードが発行してもらい、車のトランクまでチェックされ、それで島に入場できます。島へのカメラの持ち込みも禁止(事前許可制)です。島の上空はシンガポール空軍の戦闘機が警備しています。9・11事件の頃には入場検査がもっと厳しく入口ゲート通過に2時間かかったとタクシーのドライバーが言っていました。

ジュロン島の石油精製基地 Singapore Petroleum社のサイトより

ジュロン島の石油精製基地 Singapore Petroleum社のサイトより

 「どうして物価の高いシンガポールに合成ゴム工場があるのか?」の理由の一つとして、ブタジエンなどの

全文:約1100文字

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