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合成ゴムの種類と用途|合成ゴムの基礎知識

2017年08月09日

ゴムタイムス社

 合成ゴムの原料 ~合成ゴムは石油から作られる~

 合成ゴムはナフサを分解してできる、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどの石油化学基礎製品から作られる石油化学誘導品の一つ。天然ゴム(NR)に対して、人工的に合成されたゴム状物質あるいはゴム弾性体、およびそれらの原料である合成高分子化合物の総称を言う。

 ナフサ分解では、主生成物のエチレンのほか、プロピレン、ブチレン、ブタジエンなどの低級オレフィン類やベンゼン・トルエン・キシレン(BTX)などの芳香族炭化水素が同時に生成される。

 これらエチレン、プロピレン、ブタジエンなどの分子量の小さい分子化合物「モノマー」を原料として使い、重合反応を行なうことで合成ゴム「高分子(ポリマー)」が作られる。

 天然ゴムが主成分シス-1,4-ポリイソプレンであるのに対して、合成ゴムは原料および製造法の多様性のために、その化学構造に従って特徴のある性質を示す多くの種類がある。
 
 合成ゴムの種類と用途

 合成ゴムの種類は化学構造の違いからジエン系(R)、オレフィン系(M)、多硫化系(T)、シリコーン系(Q)、フッ素系(FK-)、ウレタン系(U)、およびエーテル系(O)などに分類される。固形ゴム、ラテックスや液状ゴムがある。用途別にはタイヤなどに多量に使われる汎用ゴムと、自動車用部品や工業用部品などに使用され耐油、耐熱性が向上した特殊ゴムに分類される。

 汎用ゴムはスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)であり、準汎用にはエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、特殊ゴムにはアクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(Q)などがある。

 


 

 *経産省特許庁、合成ゴムメーカー各社のHPより抜粋。()内は製造メーカー。

 スチレン・ブタジエンゴム(SBR) 

 乳化重合によって合成されるE-SBRと溶液重合によって合成されるS-SBRがある。E-SBRは、スチレン(23.5%)とブタジエンの低温ラジカル共重合によって得られるランダム共重合体。タイヤ(タイヤレッド、タイヤサイドウォールなど)、ベルト、靴底などに使用される。スチレンを50%以上含むハイスチレンゴムは硬質ゴム製品の靴底や床タイルなどの用途がある。SBRラテックスは、乳化重合を停止した後濃縮して安定剤を加えたゴムの乳濁液である。
 S-SBRはリチウム系触媒によるランダムタイプの溶液重合SBR。加工性、物性、特に動的特性に優れており、低燃費タイヤ向けに需要が拡大している。
(JSR、日本ゼオン、旭化成、住友化学)

 

 ブタジエンゴム(BR)

 高シスBRと低シスBRがある。高シスBRは、ブタジエンのツィーグラー(チーグラー)系触媒による溶液重合で合成され、シス-1,4結合が96%以上の立体規則性ポリマーである。低シスBR(シス-1,4結合10~35%、トランス-1,4結合57~66%)はリチウム系触媒の溶液重合あるいは乳化重合によって製造される汎用ゴム。このうち乳化重合法低シスBRはラテックスとしてABS樹脂用に使われる。耐摩耗性、耐寒性、耐熱老化性に優れる。タイヤトレッド、サイドウォール、各種ベルト、工業用品、押出成形品、靴底、ゴム引布。   
(宇部興産、JSR、日本ゼオン、旭化成)

 

 クロロプレンゴム(CR) 

 耐候性、耐オゾン性、耐油性、耐磨耗性、難燃性、耐熱性など優れた特性をバランス良く持ち、 加工しやすい合成ゴムで、伝動ベルトや自動車部品、フォームラバー、接着剤など幅広い用途に 使用されている。
 製造方法は、主原料が異なるアセチレン法とブタジエン法がある。アセチレン法はアセチレンを塩化銅-塩化アンモニウム錯塩水溶液に通し,塩化水素を加えて製造する。ブタジエン法はブタジエンを塩素化したのち脱塩酸して製造される。
(デンカ、東ソー、昭和電工)

 

 アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR) 

 アクリロニトリル(15~50%)とブタジエン(85~50%)の乳化重合によって製造される。加硫ゴム製品はとくに耐油性が優れており、アクリロニトリル含有量の多いほど耐油性が高くなる。
 結合ニトリル量によって、極高(43%以上)、高(36~42%)、中高(31~35%)、中(25~30%)、低(24%以下)の5段階に分類され、中高が汎用タイプである。水添NBR(HNBR)の需要が近年拡大している。耐油性、耐溶剤性が特に強く要求される自動車用、工業用のホース、パッキング、ガスケット、フロート及び印刷用ロールなどに用いられる。
(日本ゼオン、JSR)

 

 イソプレンゴム(IR)

 シス-1,4結合が94%以上のポリイソプレンであり、天然ゴムと同じ化学構造をもつ。ツィーグラー系触媒あるいはアルキルリチウム触媒によるイソプレンの溶液重合で合成される。
 タイヤトレッド、サイドウォール、カーカス、各種ベルト工業品等、天然ゴムが用いられる全ての用途に使用可能。明色配合製品にも適する。
(日本ゼオン、JSR、クラレ)

 

 ブチルゴム(IIR) 

 イソブチレンに3%程度のイソプレンを加え、塩化アルミニウム触媒などにより低温溶液重合して合成される。加硫ゴム製品は気体透過性が天然ゴムの10分の1と低く、反発弾性が低い。気体不透過性、耐候性、耐オゾン性、耐熱性、耐老化性に優れている。塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムがある。ブチルゴムは天然ゴムや他の合成ゴムと比較し、空気やガスの不透過性や耐熱性に優れた高機能合成ゴム。自動車や大型トラック、バス用のタイヤに用いられるインナーチューブや、チューブレスタイヤのインナーライナー、高度な気密性が求められる分野で欠かせない素材。また、ハロゲン化ブチルゴムは乗用車向けのラジアルタイヤに主に使用されている。
(JSR)

 

 エチレン・プロピレンゴム(EPM・EPDM) 

 エチレン・プロピレンゴム(EPM・EPDM) エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)は、エチレンとプロピレンとの共重合体であるエチレン-プロピレンゴム(EPM)に、少量の第3成分を導入し、主鎖中に二重結合をもたせたもの。
 触媒としては、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒が使われる。メタロセン触媒 はオレフィン重合 に対 して非常に高 い活性 を示すとともに、配 位子や中心金属の選択によりポリオレフィンの一次構造制御や従来のチーグラー 触媒では困難であったモノマーの重合を可能としている。用途はグラスランチャネル、ウエザーストリップスポンジ、OAロール、ラジエーターホース、電線被覆など。
(三井化学、JSR、住友化学)

 

 アクリルゴム(ACM) 

 アクリル酸エステルを主成分とする合成ゴム。2-クロロエチルビニルエーテルあるいはアリルグリシジルエーテルとの共重合体が代表的。アミン類で架橋するが、硫黄で加硫するタイプもある。主に自動車用途に使用される各種オイル周りのシール用やホース用のゴム材料として従来から使用されている。
(日本ゼオン)

 

 シリコーンゴム(Q) 

 シリコーンゴムはケイ素-酸素結合を主鎖とするシリコーンガム(高重合オルガノシロキサン)を主原料とし、これに合成シリカ(補強充填剤)・粉砕シリカ(増量充填剤)及び種々の添加剤を調合混練したもの。ケイ素と酸素からできている「ケイ石」と「有機化合物」を使い、小さな分子であるシランと水を反応させ、シロキサン結合により作り出される。
 シリコーンゴムの原色は乳白色。常温加硫タイプと熱加硫タイプの2タイプがあり、粘度の違いにより、ミラブル型シリコーンと液状シリコーンに大別される。主な用途は、優れた耐熱性、耐油性、耐燃料油性を必要とする自動車用のオイルシールやOリング、パッキン、ホースなど。アウトガスが少ないことから半導体分野、電気絶縁性が必要な電線やその周辺部品にも使用されている。
(信越化学、旭化成ワッカーシリコーン、東レ・ダウコーニング、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)

 

 フッ素ゴム(FKM) 

 フッ素を含む合成ゴムの総称である。フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンあるいは五フッ化プロピレンの共重合体が代表である。耐熱性、耐油性、耐薬品性がゴムのなかでもっとも優れている。フッ素ゴムは耐熱性と耐油性、高温での圧縮永久歪み性、耐酸性、耐溶剤性などを併せ持った高性能な合成ゴム。フッ素ゴムは耐熱性、耐油性、耐燃料油性に優れた材料であり、フッ素濃度と加硫系によりさらにさまざまな特性を付与することができポリオール加硫、パオキサイド加硫、ポリアミン加硫の3種がある。自動車、化学プラント、その他多くの工業用途において、従来の弾性体では使用に耐えられないハードな環境下でも高いシール特性、耐久性を発揮する。
(ダイキン工業、3M、デュポン、AGC旭硝子)

 

 ヒドリンゴム(ECO) 

 エピクロロヒドリンを主原料とした合成ゴム。エピクロロヒドリン重合体(CO)とエピクロロヒドリン‐エチレンオキシド共重合体(ECO)が代表的。ジアミンや過酸化物で架橋して製品とする。耐油性、耐熱性、耐オゾン性、低温物性が優れている。工業用として自動車や航空機の部品に使われる。 
(日本ゼオン、大阪ソーダ)

 

 クロロスルホン化ポリエチレン(CSM) 

 ポリエチレンに塩素と硫黄を反応させ、部分的に塩素と塩化スルフリル基を置換した合成ゴム。金属酸化物で架橋して製品とする。不飽和結合がないので、耐オゾン性、耐熱老化性、耐薬品性などが優れている。耐熱性、耐油性に加え、耐オゾン性、耐候性薬品性、明色性などに優れた特殊合成ゴム。ホース、電線被覆、引布、パッキン、ロール、ライニング、エスカレータ手摺、ゴムボート、自動車用ベルト、建材用目地材等に使用されている。
 (東ソー)

 

 ウレタンゴム(U)

 ポリウレタンとはウレタン結合を有する重合体の総称で、通常イソシアネート基と水酸基を有する化合物の重付加により生成される。ウレタン樹脂、ウレタンゴムともいう。両末端にヒドロキシ基をもつポリエーテルジオールあるいはポリエステルジオールとジイソシアナートの重付加反応によって合成されるポリウレタンがプレポリマー。これに鎖延長・橋架け剤を加えて成形し、製品とする。
 成形法によって注形加工するキャストタイプ(液状ゴム)、通常のゴムのように加工するミラブルタイプ、長鎖状のポリウレタンである熱可塑性ポリウレタン(TPU)の3種類に分けられる。TPUはMDIと各種ポリオール(ポリエステル・ポリエーテル・ポリカプロラクトンなど)とを組み合わせて製造され、強靭な機械的特性と優れた耐摩耗性を有する。射出成形・押出成形・カレンダー加工・ブロー成形・インフレーション成形により、自動車部品・フィルム・ホース・チューブ・ベルトなど多用途に使用されている。

 ディーアイシー コベストロ ポリマー、BASFジャパン、日本ミラクトラン、大日精化工業。

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