【カーボンブラック特集】 カーボンブラック タイヤ需要は堅調に推移

2012年06月18日

ゴムタイムス社

アジアの需要が伸長 グローバル展開が課題に

国内は高付加価値化で差別化

 カーボンブラック業界の動きを顧みると、昨年は東日本大震災でカーボンメーカーの工場が被災、供給力の低下により需要家が輸入品の調達を増やし、2011年年間の輸入量は18万㌧を超え、過去2番目の高水準となった。
 2012年は国内メーカーの供給力が回復し、輸入量の低下、さらに国内需要の回復が予想されることから、カーボンブラック協会の予想は、総需要85万4355㌧、前年比2%増とした。
 ゴム用は、タイヤ向けが60万9843㌧、前年実績見込み比100・4%で横ばい、一般ゴム向けは15万5512㌧、同107・2%の合計76万5355㌧、同101・7%と小幅ながらプラス予測。非ゴム用は4万2000㌧で同104・8%と数量は少ないものの堅調な需要が予測された。この結果、内需合計では80万7355㌧、同101・9%と予測された。
 一方、輸出は4万7000㌧で同103・3%が見込まれ、総需要は85万4355㌧、同102・0%。
 輸入動向は、11年の実績は17万9875㌧、前年比34・8%増と大幅に伸長、とくに中国から急増した。12年は15万5000㌧、同13・8%減とした。
 なお、2011年の実績は、ゴム用が75万2422㌧、前年比1・5%増、非ゴム用は4万63㌧、同93・8%で、内需合計は79万2485㌧、同1・0%増。輸出(4万5516㌧、同6・5%減)を加えた総需要は83万8001㌧、同0・6%増とぼぼ前年並みを確保した。
 足元のカーボンブラック需要については「タイヤおよび機能部品メーカーの生産は概ね堅調で、タイヤ各社は円高下の経済環境ながら、前年比ではほぼ横ばいとなっている。一方、非タイヤ製品は自動車部品が中心であるが、需要はトヨタや日産などメーカーの高い生産に支えられて、12年は前年比7%増程度が見込まれる」(カーボンメーカー)としている。
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 カーボンブラック粒子は、球状の粒子が融着して複雑な構造を持つ。また、カーボンブラックの表面には水酸基やカルボキシル基など各種の官能基が存在しており、これらの量や組成を「表面性状」と言われる。
 「粒子径」「ストラクチャー」「表面性状」は、カーボンブラックを特徴づける基本的な特性であり、3大特性と呼ばれる。この3大特性は、カーボンブラックをインキ・塗料・樹脂などに配合した際、黒度や分散性などの実用特性に対して、大きな影響を与える。
 〈粒子径〉
 球状粒子の直径は、樹脂やベヒクルに配合したときの黒度・分散性を大きく左右する基本的な特性。一般的に粒子径が小さいほどカーボンブラックの黒度は高くなる。しかしながら凝集力が強くなり、分散が難しくなる。
 〈ストラクチャー〉
 ストラクチャーの大きさも粒子径同様、カーボンブラックの黒度・分散性を左右する。一般的にストラクチャーが大きくなると、分散が良好になるが、黒度は低下する。また、ストラクチャーの大きなカーボンブラックは、特に優れた導電性を示す。
 〈表面性状〉
 カーボンブラックの表面には各種の官能基が存在、その種類や存在量により、インキや塗料ワニスとの親和性が異なる。酸化処理などで親水基を多く付与したカーボンブラックは、印刷インキのワニスなどに対して親和性が大きく向上、分散性に優れたカーボンブラックになる。

(2011年6月18日紙面掲載)

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