【TPE特集】 リケンテクノス タイのTPE新工場、13年稼働目指す

2012年05月21日

ゴムタイムス社

タイのTPE新工場 13年稼働目指す 米、インドネシアでも能力増強へ

リケンテクノス

 リケンテクノス㈱の足元のコンパウンド事業は国内コンパウンド事業においては塩ビコンパウンドが期前半の復興需要を反映した電線用途や、エコ家電用途、更にはエコ住宅用途の売上が上伸した。後半調整局面に入ったが、洪水により昨年10月下旬から生産を停止したタイ子会社への代替輸出があり、またゼオン化成㈱からの同事業の譲受分を加え、売上は前期を上回った。 エラストマーは自動車関連のサプライチェーンの修復に伴い、売上は回復したものの前半の落込みをカバーできなかった。
 一方、海外は、中国、東南アジアでの家電用途の需要拡大が続き、自動車用途は日系自動車メーカーの生産回復により売上は上昇に転じたが、タイで発生した洪水により影響を受けた。米国市場は、期央から日系自動車メーカー向けの売上が増加したが、住宅関連の売上は市場の低迷を受け不調となった。
 収益面では国内外とも原材料価格上昇分の製品価格転嫁が遅れたため、厳しい状況が続き、2012年3月期のコンパウンド事業の売上高は 516億5000万円、営業利益は23億2800万円 となった。
 同社コンパウンド事業部では各種熱可塑性エラストマー及び塩ビコンパウンドを事業展開。熱可塑性エラストマーでは「アクティマー」「トリニティ」「レオストマー」「オレフレックス」をシリーズ化、分野別の営業、開発体制を強化し、各種TPEのシリーズ拡充に注力している。
 ユーザーとの共同開発による新グレードの市場投入も活発で「レオストマー」コンパウンドでは耐熱性、高硬度での圧縮永久歪特性に優れる「レオストマー SE」、加硫ゴムの置き換えを中心にウェザーストリップをはじめ自動車用途分野での需要が拡大している「アクティマー」シリーズの新グレード「アクティマーG」がある。
 同社ではコンパウンド事業については品質の優位性に加え生産性の改善によるコスト競争力の強化策を進めており、具体的には、塩ビコンパウンドは、国内ではゼオン化成㈱からの事業譲受分を含めた生産の最適化を図った。海外では洪水により打撃をうけたタイ子会社「リケンタイランドカンパニーリミテッド」の売上回復およびインドネシア子会社「PT リケンインドネシア」における医療用新工場建設(5月8日地鎮祭)を進めており、医療用コンパウンド2ラインを新設し、2013年春からの生産開始を目指している。
 エラストマーでは、特に自動車用途をターゲットにしたグローバルな製品供給能力の増強を進めており、タイにおけるエラストマー製造工場「リケンエラストマーズタイランド」(年産6000トン計画)は洪水のため着工が遅れたが、2012年度年内の稼動を目標に急ピッチで建設を進めている。米国でも日系メーカーを中心とした自動車用途分野で需要が拡大しており、米子会社「リケンエラストマーズコーポレーション」(年産6000トン)の生産能力を2014年までに倍増する計画。
 グローバルな塩ビコンパウンドの生産能力は国内3工場、中国の「上海理研塑料有限公司」を含め年産約20万トン。エラストマーはタイが稼働すると年産4万トン体制となる。
 また、同社ではコンパウンド、フィルム事業分野にとらわれない新たな事業分野の開拓を図るため、本年4月から「ソーリューション事業部」を新設、建材分野を中心とした新事業を大きな柱に育てていく方針。(2012年5月21日紙面掲載)

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