信越化学 米で塩ビ樹脂の生産能力拡大

2013年06月20日

ゴムタイムス社

 信越化学の米国子会社であるシンテック社は19日、ルイジアナ州での電解、塩ビモノマーおよび塩ビ樹脂の生産能力の増強を決定したと発表した。増強する生産能力は塩ビモノマー年産約30万トン、カ性ソーダ年産約20万トン、塩ビ樹脂年産約30万トンで、増設後の同社の塩ビ樹脂の生産能力は、ルイジアナ州の工場の既存分とテキサス州の工場を併せて年産295万トンとなる。投資額は5億ドル(約500億円)、同社の自己資金で賄う計画。2015年の完成を目指す。
 同社は、米国内に加えて中米、南米を始めとする新興国の顧客への拡販を積極的に進めている。その結果、2012年12月期は前期に比べて2・2倍となる経常利益5億5千100万ドルを上げ、過去最高益を更新した。プラクマン工場で実施した総投資額2500億円に上る塩ビの原料からの一貫生産工場が高稼働を継続し、増益に大きく貢献した。
 同社がこの大型投資を決断した2004年当時、米国では天然ガスの高騰が続いていて、それが恒久化するという考えが趨勢だった。その中で同社は「米国にはエネルギー問題を解決する力がある」と確信して一貫工場の建設を進め、2008年から順次稼働を開始、2011年夏に全ての工事が完了した。
 一方、米国ではシェールガスの採掘技術が確立され、天然ガスが国際競争力を取り戻した。シェールガス革命とも称されるブームが起きる前に踏み切ったこの投資が、同社の最高益に大きく貢献した。
 同社は、自社で一貫生産できる体制を生かし、世界最大の塩ビ樹脂メーカーとして世界の塩ビ需要の拡大に応えていくとしている。

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