信越化学 米国でヒドロキシエチルセルロース新工場建設

2012年05月07日

ゴムタイムス社

 信越化学工業㈱の100%子会社であるSEタイローズ社(SE-Tylose GmbH & Co.KG、ドイツ)は、米国でヒドロキシエチルセルロース(HEC)の製造工場を新設することを決定した。

 新工場の生産能力は、年産9千トン。投資額は120百万ドルで、全額手持資金でまかなう予定。新工場は、信越化学の米国子会社であるシンテック社がルイジアナ州プラクマンに所有する、約9百万坪(約7千エーカー)の広大な土地の一画を利用する。年末には着工し、2014年初めの操業開始予定。

 同社はセルロース誘導体製品の総合メーカーで、直江津工場(新潟県上越市)とSEタイローズ社で、同製品の生産を行っている。HECはセルロース誘導体の一種で、SEタイローズ社で生産を行っている。
 現在のSEタイローズ社HECの生産能力は年産1万6千トン。米国工場が完成すると、同社グループのHECの生産能力は2万5千トンとなる。

 HECは、主に水溶性ペイントに使用され、粘度の調節、着色剤の沈殿防止、接着力の向上などで効果を発揮。需要は堅調な伸びが期待される。シンテックが所有する理想的な工業用地の一画を利用できることにより、将来の増設も見据えた事業展開が可能であることが、米国で新工場を建設する決め手となった。

 更に、ヨーロッパと米国に二つの生産拠点を持つことで、ユーロ圏と米ドル圏での生産が可能になり、米ドル建ての取引が多いHECの販売において、為替の変動に柔軟に対応できる見込み。同社は、2つの生産拠点を持つことは安定供給にもつながるとしている。

【米国HEC工場の概要】

▽所在地 :米国ルイジアナ州 プラクマン(シンテック社敷地内)
▽生産品目:HEC(ヒドロキシエチルセルロース)
▽生産能力:9千トン/年
▽投資金額:120百万USドル
▽稼働時期:2014年初め(予定)

【信越化学のセルロース誘導体事業の概要】

▽製造拠点:直江津工場(新潟県上越市)、SEタイローズ社(ドイツ ヴィースバーデン)
▽生産品目:MC(メチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)
▽用途:MC…医薬用、建築材料用  工業用/HEC…塗料用

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