昭和電工 植物由来原料使用の樹脂のサンプル出荷開始

2012年07月13日

ゴムタイムス社

 昭和電工(市川秀夫社長)は12日、植物由来の原料を使用した生分解性ポリエステル樹脂「ビオノーレ」の、フィルムグレードのサンプル出荷を開始したと発表した。

 同社は従来の「ビオノーレ」の原料であるコハク酸を、デンプンや糖を原料とした植物由来のバイオコハク酸に切り替えて、同社龍野事業所の商業プラントで製造することに成功している。

 これまでも「ビオノーレ」は、使用後に水と炭酸ガスに分解される完全分解型の生分解性樹脂としてコンポストバッグや各種フィルムに採用されてきたが、CO2排出を抑制し環境負荷の低減に一層貢献するため、同社では植物由来原料への切り替えを検討していた。
 今回、コハク酸からバイオコハク酸への切り替えに成功したことで、「ビオノーレ」の主原料の半分を植物由来とすることが可能となった。また、この採用により、「ビオノーレ」にデンプンなどを混ぜ合わせた樹脂「ビオノーレスタークラ」についても、原料の植物由来比率を約70%に上昇させることができる。なお、「ビオノーレ」「ビオノーレスタークラ」とも、「堆肥化の過程で十分に生分解すること、出来た堆肥の動植物などへの安全性を証明する」ベルギーAIB‐VINCOTTE社の「OKコンポストラベル」、ドイツDIN CERTCO社(EN13432準拠)の認証を取得している。

 同製品は、米国の世界的なバイオプラスチックメーカー、ノーザンテクノロジーズインターナショナルコーポレーション(以下、NTIC)の展開するバイオプラスチック製品「Natur‐Tec」をはじめとして、一部顧客への試験販売をすでに開始している。NTICは従来の「ビオノーレ」を、インドにおける関係会社HARITA‐NTIが生産する衣料ブランド向けガーメントバッグ等で採用しているが、バイオコハク酸を用いた「ビオノーレ」に変更する計画。

 諸外国を中心に環境配慮への意識が高まる中、同社は「植物由来原料」「生分解性」という両側面での環境負荷の低減を実現したプラスチックとして、ビオノーレブランドの拡販を進めていく方針。年内にはバイオコハク酸メーカーの供給体制が1万~2万トン/年の規模で整うことを視野に、新たな需要獲得を目指す方針。

 NTICのNatur‐Tecビジネスユニット、Vineet Dalal氏(Vice President and Director)は、「弊社の顧客から、最終製品の全体のCO2排出量を減らすため、弊社の原料のバイオベース炭素含有量を増やしてもらいたいという要望が増しています。昭和電工の植物由来樹脂「ビオノーレ」を弊社のコンパウンドとプラスチック製品に採用することで、急速に拡大する需要に対応できるのではないかと、非常に期待しています」とコメントしている。

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