旭化成がスマートラボラトリー開設 材料開発プロセスを自律的に運用

2026年11月06日

ゴムタイムス社

 旭化成は11月5日、静岡県富士市の同社支社内に、AIや自動化技術を活用し、材料開発の一連のプロセスを自律的に行うプラットフォーム「スマートラボラトリー」を開設すると発表した。2027年1月から稼働する予定であり、半導体向け感光性絶縁材料「パイメル」の製品開発に活用する。
 同施設では、材料設計から実験、顧客の半導体パッケージ製造工程を想定した加工・性能評価、その結果を次の材料設計に反映するまでの一連のサイクルを、一つの実験システムとして自律的に繰り返す。「パイメル」の多種原料の調合や加工・性能評価の工程を自動化することで、開発実験数(一定期間に検討できる組成数)を従来の約4倍に拡大できる。
 同社のスマートラボラトリーの特長は以下2点。
 1点目は、材料開発プロセス全体をつなぐ自律実験システムであること。現在世界で進む自律実験は、対象とする材料が限定されているものや、開発プロセスの一部工程のみを対象としたもの、学術的な実証にとどまるものが多く、開発プロセス全体に適用されている例は限られている。これに対し、同社のスマートラボラトリーは、一部の工程にとどまらず、「材料設計から実験・評価、学習」のサイクルを通じて、施設全体を一つの実験システムとして自律的に運用することが特長となる。実験計画・スケジューリングから、原料の調合、試料作製、顧客の半導体パッケージ製造工程を想定した加工・評価までを自動で行う。そして、得られた実験結果・評価データは、再び学習・解析され、次の組成や実験条件の提案へと繋がる。この実験と学習のサイクルを自律的に繰り返すことで、開発実験数(一定期間に検討できる組成数)を拡大することができる。
 2点目は、長年蓄積した膨大なデータが高度な予測精度を実現している点となる。MI(マテリアルズ・インフォマティクス)による材料探索では、実験データの量や蓄積が予測精度を高める上で重要となる。同社は「パイメル」の開発を通じて蓄積した膨大な実験データをMIで活用できるデータ基盤を整備してきた。こうしたデータ基盤に新たな実験から得られるデータを加えて公知データとともに学習し、研究者の知見、シミュレーション、理論科学と掛け合わせることで、従来常識では見過ごされてきた新たな組成を探索する。そして、さらにその周辺の組成や条件を重点的に検証し、繰り返し学習することで予測精度が高まる。
 スマートラボラトリーの活用により、「パイメル」の材料開発は、スピードの向上はもちろん、開発実験数(一定期間に検討できる組成数)を従来の約4倍へと拡大し、材料候補をより幅広く検証できるようになる。これにより、微細加工性と形状安定性、高信頼性と高解像度化など複数の性能を高いレベルで満たす新たな有望材料の発見など、ブレークスルーにつなげる。
 同社はこれからも、最先端半導体ユーザーのニーズを先取りした製品開発を加速することで、最先端半導体のさらなる進化に貢献する。
 「パイメル」のスマートラボラトリー運用を通じて、自律実験システムに関する技術やノウハウを蓄積し、同社が手掛ける他の電子材料事業へ展開、さらに将来的には、マテリアル領域の他の製品への活用拡大を検討していく。更に今後は、研究者とAIとの対話により開発目標を実現するプロセスを磨くことで、新たな技術開発の可能性を追求する。
 同社は創業以来、さまざまな事業で培った技術や知見を組み合わせ、新たな価値の創出につなげてきた。AIは、こうした多様な技術・データ・知見を結び付け、新たな可能性を探索する力をさらに高めるものと考えている。「パイメル」から始まる技術開発の革新を、他の事業へと広げ、研究者の力とAIを活かして技術・データ・知見の新たな可能性を探索するアプローチを、ヘルスケア領域や住宅領域を含むグループのさまざまな研究開発へと発展し、同社ならではの新たな価値創出につなげていく。

 

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