ゴム用添加剤における製品への活用 加硫促進剤

2021年02月18日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 ゴム用添加剤における製品への活用

加硫促進剤

大内新興化学工業㈱ 小松智幸

1.はじめに

 ゴムの加硫は、NRや合成ゴムに硫黄やその他架橋剤・加硫促進剤を加え加熱処理などをすることで、ゴム分子間を化学結合させる反応である。加硫促進剤は加硫にとって重要な薬品であり、加硫剤と作用して加硫反応を促進させ加硫時間の短縮、加硫温度の低下、加硫剤の減量、加硫ゴムの物性向上を目的に使用される。加硫反応は加硫促進剤を使用せずに行うと、非常に長い時間を要する。現在はさまざまな加硫促進剤が使用されているが、ほとんどの加硫促進剤は半世紀以上も前に開発されたものであり、昔と比較しても大きく変化していない。加硫促進剤は加硫やゴム物性を決定する重要な配合剤になる。

2.加硫促進剤の変遷1)2)3)

 加硫促進剤の変遷について簡単に述べる。1906年、オーエンスレーガーは、アニリンが加硫を促進することを見出し、有機系加硫促進剤の幕開けとなった。その翌年に、アニリンの毒性改善にDPTU(チオカルボアニリド)が開発された。同時期にはHMT(ヘキサメチレンテトラミン)も使用されている。1912年にジチオカルバミン酸塩系であるPPDC(N-ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩)が発見されている。1915年にはキサントゲン酸塩系加硫促進剤が発見され、1918年から1922年の間にジチオカルバミン酸金属塩、TMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、DPG(ジフェニルグアニジン)、MBT(メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ベンゾチアジルジスルフィド)と多くの加硫促進剤が発見された。1932年には、スコーチが長いスルフェンアミド系加硫促進剤が発見され、1930年代で現在の加硫促進剤の基本的な化学構造は完成している。

3.硫黄、加硫促進剤、酸化亜鉛の効果

 硫黄加硫は加硫促進剤と酸化亜鉛の組み合わせが重要である。加硫促進剤または酸化亜鉛が欠けると加硫促進効果が著しく低下し、加硫度は大幅に低くなる(図1参照)。図2に代表的なMBTの加硫機構4)を示す。加硫は、硫黄、加硫促進剤、酸化亜鉛が存在することで効率的に反応が行われる。加硫機構はいまだ明確に解明されていないが、酸化亜鉛の効果は、亜鉛イオンがポリスルフィドに配位することで、架橋前駆体が形成し、加硫をさらに促進すると考えられる。酸化亜鉛が無しでも、硫黄と加硫促進剤の配合の仕方によって、加硫は可能であるが、加硫戻りが大きく、加硫ゴムの耐熱性は非常に悪い。
4.加硫促進剤の種類と特徴
加硫促進剤は、化学構造により図3のように分類されている。図4に代表的な加硫促進剤の加硫曲線を示す。加硫促進剤は種類によって、加硫促進の特徴が異なる。加硫促進剤は、二つ以上の加硫促進剤を併用する場合、一次加硫促進剤、二次加硫促進剤と区別して呼ばれることがあり、一般的に主導的な加硫促進能力を持つものまたは配合量が多いほうを一次加硫促進剤と呼ぶ。種類別の加硫促進剤の特徴を以下に述べる。

4.1 アルデヒドアンモニア系加硫促進剤
 アルデヒドアンモニア系加硫促進剤はHMTがある。HMTは単独で使用すると、加硫速度が遅く、二次加硫促進剤として使用されることが多い。HMTは吸湿性が大きいため保存に注意が必要となる。

4.2 アルデヒドアミン系加硫促進剤
 アルデヒドアミン系加硫促進剤はBA(ブチルアルデヒド-アニリン縮合物)がある。BAは赤褐色の液体であり、加硫ゴムに対して着色性がある。単独で使用すると加硫速度が遅く、二次加硫促進剤として使用されることが多い。

4.3 チオウレア系加硫促進剤
 NRに単独で使用する場合は、スコーチが短く、加硫度が低い。チオウレア系加硫促進剤は主にCRの加硫促進剤として使用される。図5にチオウレア系加硫促進剤を用いたCRの加硫曲線、表1に加硫ゴムの物性を示す。加硫ゴムの圧縮永久ひずみは、TMUが優れ、DETUが劣る。

4.4 グアニジン系加硫促進剤
 グアニジン系加硫促進剤は、単独で使用すると加硫速度が遅く、

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