三菱樹脂インフラ 特殊堤防を新開発

2013年07月18日

ゴムタイムス社

 三菱樹脂インフラテックは16日、可搬式特殊堤防「ダイヤレビー」を開発し、17日から販売を開始すると発表した。
 同製品は豪雨における河川の洪水による堤防の越水や、都市部の建物や地下への浸水を防ぐためのもので、基礎に立てた支柱の間に軽量なプラスチックとステンレスのパネルを嵌め込む方式のため、従来の土嚢を積み上げる方式に比べて短時間かつ容易に簡易の堤防を構築できるのが特徴。
 2012年7月に熊本県で発生した記録的な豪雨とそれに伴う甚大な被害のように、近年、集中豪雨による河川の氾濫被害が多発している。また、都市部においても、局地的な豪雨による建物や地下への浸水被害が懸念されている。このような被害を防ぐためには、豪雨による増水時に、速やかに臨時の堤防を構築し、河川や都市部における水の氾濫を防ぐことが重要だが、現在主流である土嚢の積み上げ方式は重労働かつ設置作業に時間を要するという課題があった。
 今回発売する「ダイヤレビー」は、越水の危険性が高い河川の堤防や、都市部の建物や地下の入口に事前に設置した基礎に支柱を立て込み、支柱の間にパネルを嵌め込むことで、約1mの高さの止水壁を一時的に作ることができる可搬式の臨時堤防。使用するパネルは塩化ビニル製の中空板とステンレス板とを貼り合わせており、金属の剛性とプラスチックの軽量性を併せ持つ。パネルの重量は1枚当たり約8kg(高さ300mm×幅1500mm×厚み30mm)と軽量性を確保したため、土嚢の積み上げ方式に比べて運搬が容易で、短時間で設置が可能。強度面においても、水圧1トンの荷重に耐えられることが同社の独自試験により実証されている。また、パネルに止水ゴムを付けることで支柱や上下のパネルの間、基礎との水密性を高め、水漏れの量を低減することができる。さらに、耐久性に優れた材料を使用しており、繰り返しの使用が可能となっている。
 同社は同製品を、河川整備の遅れにより堤防の高さが不十分な地域や、浸水の危険性が高い都市部の地方自治体や民間企業に対して、新たな治水工法として幅広く拡販していくとしている。今後も防災関連製品の開発に注力し、人々の安全・安心な暮らしの確保に貢献していく方針。

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