三菱樹脂 豪州で植物工場の実証実験開始

2013年04月09日

ゴムタイムス社

 三菱ケミカルホールディングスグループの三菱樹脂アグリドリーム(MPAD)および地球快適化インスティテュート(TKI)は、4月4日、オーストラリア・ビクトリア州第一次産業省の関連会社であるAgriculture Victoria Services Pty, Ltd.(AVS)と共同で、同省が保有するノックスフィールド農業試験場においてホウレンソウなど葉菜類を栽培する太陽光利用型植物工場の実証実験を開始したと発表した。
 オーストラリアは、国土の大半が砂漠に覆われ、度重なる干ばつと深刻な水不足により農業生産に大きな課題を抱えている。そうした状況の中、2010年7月からTKIは、ビクトリア州政府等と節水型農業技術の検討を進めてきた。同政府はMPADの太陽光利用型植物工場を節水型農業に貢献できるとし高く評価した一方、MPADとしても植物工場のグローバル展開における日本、中国に続く第三の拠点として、大いに期待できると判断し、双方の方向性が一致したことから、昨年11月にMPAD、TKI、AVSの3社で太陽光利用型植物工場の実証試験に関する契約を締結し、これまでその準備を進めてきた。
 本実証試験では、ノックスフィールド農業試験場の一部区域(約150㎡)に、MPADの閉鎖型苗生産システム「苗テラス」および葉菜用養液栽培システム「ナッパーランド」を設置。両システムを用いてホウレンソウを栽培した場合、通常の土耕栽培に比べて約5倍となる、年当たり約20作が可能であり、かつ苦味が抑えられるため洗わずに、生でも美味しく食べることができる。本実証試験においては、MPADおよびTKIが今後のビジネス展開に伴う市場性の調査を、またAVSは試験栽培や収穫された野菜の栄養成分等の各種データの収集をそれぞれ担当するという。
 3社は、今般の実証実験を契機に同国でも積極的な事業展開を図り、安全安心かつ高品質な野菜を提供する次世代アグリビジネスの普及に努め、同社グループが提唱する、人にとっての心地よさに加え、社会にとっての快適、地球にとっての快適を併せもつ、真の持続可能な状態「KAITEKI」の実現を目指していくとしている。
 なお、同実証試験によって良好な結果が得られた場合、MPADは現地パートナーとの共同で生産から加工、販売までを手掛ける現地法人を設立するなど、従来の植物工場の栽培システムの供給のみに留まらない新たなビジネスモデルの構築に向けて検討を進めていく。

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