日本ゴム工業会 理事会の詳報

2012年11月14日

ゴムタイムス社

 資材関係事項 ナフサ価格は上昇基調

 〈原油、ナフサの動向〉
 原油価格は、6月下旬からイラン、シリア等の中東リスクの再燃、米国での株高や金融緩和への期待等により投機資金が流入しやすい環境となり上昇した。9月中旬以降は中国等の成長鈍化、世界経済の景気減速懸念から下落に転じ、シリア、イラン問題等の中東リスクのくすぶりのため下落傾向にある。10月の月間平均値は、WTIが91・28ドル(前月比3・28ドル減)、ドバイ原油が109・81ドル(同0・57ドル減)と4ヶ月ぶりに下落した。
 一方、ナフサ価格も原油価格に連れて下落しており、シンガポール、東京オープンスペックとも10月は4ヶ月ぶりに下落した。国産ナフサ価格は、近く発表される7~9月は、4~6月のナフサ価格の下落により、5万円前後に下落の見込みだが、10~12月期は8月以降ナフサのスポット価格が上昇したことから5万5千円前後に再び上昇の見通しとなっている。このため、汎用品を中心に一部の石化製品では値上げの打ち出しが行われている。
 なお、ブタジエンについてはタイヤ生産の減速を反映し、8月以降2000ドル割れの状況が続いている。

 〈天然ゴム価格の動向〉
 2012年は3月の310~330円台をピークに下落していたが、9月下旬以降、タイを中心とした産地の出荷制限等が10月から実施されることや、中国における景気対策への期待から上昇した。このため月間平均値で見ると9、10月と上昇しているが、10月中旬以降は世界的な景気減速懸念や中国での自動車販売減速による需要減から下落を示している。

 〈日銀企業物価指数の動向〉
 主要原材料についてみると、前年との比較では、天然ゴムが30%以上、合成ゴムも10%強下落している。一方で有機ゴム薬は横ばい、カーボンブラックは前月比では下落しているが、前年比では上昇している。

 

 労務関係事項 加重平均前年比1・82%増

 〈年末賞与・一時金の妥結状況について〉
 年末賞与・一時金の妥結状況および夏季賞与・一時金の妥結結果について、本年の春季労使交渉、夏季および年末賞与・一時金交渉については、情報参加会員56社のうち27社が春季労使交渉の際に夏冬型年間協定で年末分についてもすでに解決している。解決済みの27社のうち現時点で集計可能な21社の妥結額の総平均(事務局試算)は、加重平均で70万8620円となり、同一企業における昨年(年末の妥結実績=69万5921円)と比べると1万2699円、伸び率で1・82%の増と前年実績を上回る内容となった。
 業種別にみると、自動車タイヤ(4社)が73万2963円、昨年年末比1万8373円、同2・57%増、工業用品(10社)が67万3254円、同851円、同0・13%減、その他(7社)は62万4413円、同6222円、同1・01%増となっている。また、21社の妥結額は30万円台から70万円台まで格差があり分散しているが、昨年年末比の伸び率の分布をみると、0~5%未満の層に12社が集中しており、前年水準を下回ったのは5社となっている。
 2000年以降の同会、日本経団連、厚生労働省の「年末賞与・一時金妥結額の推移(加重平均)」をみると、いずれのまとめも昨年年末は2010年に比べるとアップしているが、同会ではピークの2005年に比べると3万6000円程(2005年比5・2%減)低くなっている。また、経団連、厚労省もそれぞれ、ピークの2007年に比べると、10%程度低くなっている。なお夏季賞与・一時金の妥結結果(加重平均)は、日本ゴム工業会の情報交換参加会社51社の集計でで66万6656円(昨年夏季比1万298円、1・57%増)、日本経団連(主要業種・大手企業160社)の集計で77万1040円、同2・54%減、厚生労働省(民間主要企業391社)の集計では72万6345円同2・79%減と額、率ともに前年を下回っている。

アジアブタジエン市況とナフサ価格(東京オープンスペック)の推移

アジアブタジエン市況とナフサ価格(東京オープンスペック)の推移

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