セイコーインスツル 高精度と高スループットの両立を実現 「ICPーOES」を発売

2011年08月09日

ゴムタイムス社

 セイコーインスツル㈱(新保雅文社長)の100%子会社、エスアイアイ・ナノテクノロジー㈱は、ICP発光分光分析装置(ICPーOESまたはICPーAES)の新製品「SPS3500DDシリーズ」を8月4日に発売した。
 SPS3500は元素が発する光を分光(分離)する回折格子を回転駆動させることで、試料に含まれる各元素の精密分析を行なうシーケンシャル型のICPーOES。従来は回折格子を駆動させるためにボールネジやナイフエッジなどの部品を組み合わせたサインバー方式だったため、精度と測定スピードには限界があった。
 新製品は新開発のダイレクトドライブモーターにより回折格子を直接駆動、無駄な動きがなく、高精度・高スループットな測定が可能となった。その結果、従来方式に比べ、波長位置精度が5倍向上し、定性分析も約6倍の高スループットを実現した。

ICP発光分光分析装置「SPS3500DDシリーズ」

ICP発光分光分析装置「SPS3500DDシリーズ」

 また高分解能な回折格子をより広角度に駆動できるため、460nmまでの長波長域に多くの高感度分析線がある希土類元素プラセオジム、ネオジム、サマリウムなどを高分解能で測定することができる。加えて、ダイレクトドライブモーターにより測定波長を最小2ピコメートルずつ駆動させ、全波長のスペクトルを一度に測定する広域波長分析も可能とした。  広域波長スペクトルは、測定した後から一部分を拡大して観察することもできる。とくに未知試料において干渉元素などを把握する上で、大変有効な手法となる。
 ICPーOESはppm(百万分率)から ppb(十億分率)オーダーで、元素の精密分析ができるため、多くの公定法で採用。とくに近年話題になっている希少金属や希土類元素の分析のほか、電子機器中の環境規制物質の管理、めっき、工業材料、鉄鋼などマトリックスの高い試料中の組成分析および品質管理に広く使用されている。
 価格は1700万円(税別)から。販売予定台数は本年度100台を目指す。

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