産総研らが共同研究で開発 データ漏洩を防ぐ解析アルゴリズム

2026年08月24日

ゴムタイムス社

 統計数理研究所の村上隆夫准教授、電気通信大学の清雄一教授、産業技術総合研究所の江利口礼央研究員の研究グループは8月20日、「TEE(Trusted Execution Environment)」と呼ばれる高信頼実行環境を用いて、パーソナルデータの漏洩を防ぐデータ解析アルゴリズムを開発したことを発表した。開発したアルゴリズムは、近年プライバシー保護分野で研究されている「拡張型シャッフルモデル」を、TEEを搭載した1台のサーバを用いて実現する。拡張型シャッフルモデルは一部の悪意を持ったユーザが不正を試みてもデータの漏洩を防ぐことを可能とするもので、TEEはサーバ管理者でさえも内部のデータを閲覧・改ざんできないことを保証する。これらにより、悪意のあるユーザやサーバ管理者に対してもデータの漏洩を防ぐことが可能となる。

 このようなアルゴリズムを開発するにあたり、TEEに対するサイドチャネル攻撃まで考慮した安全性指標を導入した。具体的には、TEEは内部のデータを保護するものとして注目されているが、メモリアクセスパターンや制御フローに基づくサイドチャネル攻撃によって、内部のデータが漏洩するリスクがあることが近年の研究で明らかになっている。この問題を解決するため、本研究では、攻撃者がアルゴリズムの出力・メモリアクセスパターン・制御フローの全てを入手したとしても、内部のデータに関する情報をほとんど得ることができないことを数理的に保証する「FODP(Fully Oblivious Differential Privacy)」という安全性指標を新たに導入し、FODPを満たすようにアルゴリズムを設計した。これにより、サイドチャネル攻撃に対しても高い安全性を保証することが可能となる。また、開発したアルゴリズムが高い精度と効率性(短い実行時間)を達成できることを、他の既存のアルゴリズムやモデルとの比較を通して明らかにしている。

 本成果は、情報セキュリティ分野のトップ国際会議The 35th USENIX Security Symposium(USENIX Security 2026、採択率:12・0%)に採択された。

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