旭化成がリチウムプレドープ技術開発 炭酸リチウムを活用したLIB

2026年08月21日

ゴムタイムス社

 旭化成は8月20日、炭酸リチウムを活用したリチウムイオン電池(LIB)におけるリチウム(Li)プレドープ技術を開発したことを発表した。
 本技術は、シリコン(Si)系負極等を用いたLIBにおける初回充電時の不可逆容量の課題を解決し、LIBの高エネルギー密度化とコスト競争力向上に貢献することが期待される。同社は今後、本技術の社会実装に向け、LIBの開発・製造に取り組む電池メーカーを中心に、ライセンス提供を進めていく。

 近年、電気自動車(EV)をはじめ、ヒューマノイドロボットなど、LIBの将来的な用途拡大が見込まれる分野では、LIBのさらなる高エネルギー密度化が求められている。これに対応するため、Si系負極材料による高容量化や正極の高電圧化といった技術開発が進められている。

 一方で、Si系負極は、従来の黒鉛負極と比べて、初回充電時に大きな不可逆容量が生じるという課題がある。特に、負極へのSi系材料の添加率を高めた高エネルギー密度設計の次世代LIBでは、不可逆容量の増大に伴い実際に利用できる電池容量が低下するため、それを補うための正極材使用量増加による電池コスト上昇が生じる可能性がある。
 この課題への対応策として、初回充電時の不可逆容量によって失われるLiを供給するためのLiプレドープ技術が検討されている。しかし、従来のLiプレドープ技術では、Li供給材料のコスト、電池性能への影響、既存のLIB製造工程への適用性などが課題となる場合があり、低コストで量産適用性に優れたLiプレドープ技術が求められてきた。

 同社は、従来のLi供給材料と比較して安価で、LIB材料として使用実績のある炭酸リチウム(炭酸Li)に着目した。しかし、Li供給材料として使用するためには、炭酸Liの分解電圧がLIBの定格電圧範囲を大きく上回るという課題があった。この課題に対し、電解液の添加剤技術によって炭酸Liの分解電圧を低下させることで、炭酸LiをLIBにおけるLi供給材料とする新たなLiプレドープ技術の開発に成功した。
 本技術は、炭酸Liを正極材に混合し、炭酸Liの分解を促進する添加剤(分解促進剤)を電解液に加える電池構成で実現できる。このため、既存のLIB製造工程との親和性が高い技術である。また、比較的安価な炭酸LiをLi供給材料として活用することで、容量当たりの材料コスト低減にもつながる。

高エネルギー密度LIBが求められるEV・ヒューマノイドロボット用途①

高エネルギー密度LIBが求められるEV・ヒューマノイドロボット用途①

高エネルギー密度LIBが求められるEV・ヒューマノイドロボット用途②

高エネルギー密度LIBが求められるEV・ヒューマノイドロボット用途②

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