東レは8月21日、炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics)のマテリアルリサイクルにおいて、マトリックス樹脂である熱硬化性樹脂のリサイクル性(分解・再利用のしやすさ)と力学特性の両立を可能にする材料を高精度かつ効率的に選定できる材料設計技術を開発したことを発表した。
今後は、本技術を活用した材料開発の実証を進め、マテリアルリサイクルが容易なCFRPの社会実装を目指し、航空機、自動車、一般産業などをはじめとした幅広い用途への展開を検討していく。
CFRPは軽量かつ優れた力学特性を有することから、航空機や自動車などの構造部材への適用が拡大している。一方で、使用済みCFRPの増加に伴い、CFRPのリサイクル需要の高まりが見込まれている。しかし、CFRPに用いられる熱硬化性樹脂の再利用にあたっては、ケミカルリサイクルによる原料化や、再成形可能な熱可塑樹脂化などの技術も必要であり、分解コストが高いという課題がある。また、高い強度や耐久性を実現する材料設計と、リサイクル性を両立することは容易ではなく、これらを両立する材料の開発には長期の開発期間を要する。
同社は、長年蓄積したCFRP設計技術に関するノウハウを基盤に、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の機械学習を活用した新たな材料設計技術の確立を実現した。本技術では、リサイクルCFRPの樹脂の分子構造とリサイクル性・力学特性との相関関係をデータとして体系的に整理・学習させることで、従来の特性予測モデルと比較して、リサイクル性と力学特性を両立するマトリックス樹脂候補選定の予測精度を、最大約25%向上する機械学習予測モデルの構築に成功した。さらに、このモデルを用いて絞り込んだ組成が、CFRP化した後も樹脂が分解・再利用しやすい特性を維持することを確認した。このモデルを適用することで、CFRP材料設計における初期の段階で効率的に候補材を絞り込めるため、航空機や自動車などの要求特性に合わせた迅速な設計検討を進めることができ、今後実験やシミュレーションによる候補材料の評価件数を数千~数万規模で削減できることが期待される。

