東レが「特許庁長官賞」を受賞 繊維断面の形態をナノスケールで設計可能に

2026年06月26日

ゴムタイムス社

 東レは6月24日、発明協会が主催する令和8年度全国発明表彰において、同社の『繊維の断面形態をナノスケールでデザインできる精密紡糸技術の発明』(特許第5703785号、発明者:増田正人氏、水上誠二氏、船越祥二氏)が「特許庁長官賞」を受賞したことを発表した。

 表彰式は、正仁親王妃華子殿下のご臨席の下、6月15日に執り行われ、発明者3名に対して「特許庁長官賞」が授与された。

 受賞者は同社繊維研究所 リサーチフェロー・所長 増田正人氏、同社総合力活用推進室 シニアマネージャー 水上誠二氏、同社エンジニアリング開発センター 工務技監・ダイレクター 船越祥二氏となる。

 本技術は、複合紡糸における断面形成機構を抜本的に見直し、微細なポリマー流れを精密に制御することで、繊維断面の形態をナノスケールで設計可能とした精密紡糸技術である。
 従来技術では、比較的大きなポリマー流を単一あるいは複数組み合わせて断面を形成していたため、安定的に複合化できるポリマーの種類や、制御可能な断面形態に制約があった。これに対し、本技術では、超分割した微細なポリマー流を所望の位置に配置し、合流する成分間の界面を精密に制御することで、点と点をつないで断面を形成する新しい流動制御技術を創出した。これにより、従来は困難であった複雑かつ均質な断面形態を安定して形成できるとともに、島数を増やした場合でも優れた断面均一性を実現した。
 さらに、成分比率や組み合わせるポリマーの粘度範囲などの製造条件の自由度が大きく拡大し、幅広いプロセスウィンドを有する複合紡糸技術となっている。加えて、従来は丸断面に限られていた島成分を異形化できるほか3種以上のポリマーの複合化も可能であり、新しい高機能繊維素材の創出を可能にする基盤技術として大きな特徴を有している。

 本技術は、従来技術で達成されなかった複雑な繊維断面を精密に制御できることに加え、操業性等の安定性にも優れており、高機能新素材の製造プロセスに加えて、既存製品の操業安定化や生産増能力にも活用されている。当該技術により、着用快適性と機能性を備えた快適衣料用素材を継続的に創出しており、国内外の素材メーカーやアパレルで採用が進んでおり、衣料分野での展開拡大に加えて、産業資材からライフサイエンス製品まで各分野での応用展開を推進している。

表彰式の様子

表彰式の様子

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