東レは6月18日、シリコーン材料において水濡れ性を20倍以上に向上する親水性コート材を開発したことを発表した。シリコーン材料に、高い耐久性をもって親水性を付与可能であり、コンタクトレンズなどの幅広い医療機器用途への展開が期待できる。
シリコーン材料は、柔軟で生体適合性のある材料として実績もあることから、コンタクトレンズやカテーテルなどの医療機器に広く使用されている。一方で、疎水性であるため、水濡れ性や易滑性が必要な用途においては課題があり、例えばコンタクトレンズでは、乾燥感や異物感、カテーテルでは操作性低下や閉塞の懸念が生じていた。従来、表面改質や材料そのものの改良による親水化が検討されてきたが、製造工程の複雑化や、臨床使用に耐えうる十分な親水性と耐久性の確保が課題となっていた。
同社は、独自のポリマー分子設計技術と精密重合技術を駆使し、シリコーン材料に親和性の高い新規親水性ポリマーを創出した。本ポリマーの自己組織化を利用することで、シリコーン材料表面に高耐久なナノメートルオーダーの親水化コート層を簡便に形成することが可能となった。また、薄層であるため、シリコーン材料本来の物性への影響を抑えつつ親水性を付与できる。このことから、例えば、市販の親水化シリコーンハイドロゲルの表面に、親水性ポリマーを接触させ加熱することで、約20nmの親水化コート層を形成可能であり、コーティングなしと比較して、水濡れ性が20倍以上向上し、摩擦係数は約90%低下することを確認した。さらに、擦り洗い処理後もこれら効果が持続され、高い耐久性も実証した。
この親水化コート材をコンタクトレンズに適用することで、長時間装用時の快適性向上が期待でき、また、シリコーンエラストマーにおいても、生体成分の付着抑制効果が確認されていることから、ステントやカテーテルへの適用により、閉塞の低減や易滑性付与による操作性向上も期待できる。今後、本コート材の提案を本格的に行い、幅広い医療機器材料への適用を図っていく。
