UBE、GALTSとライセンス契約 タンパク質阻害剤の独占的権利

2025年07月16日

ゴムタイムス社

 UBEと熊本大学発ベンチャーであるGALTS Pharmaは7月14日、UBEと熊本大学との共同研究にて有用性を見出したUDー051について、全世界における独占的ライセンスをGALTSが取得することで合意したことを発表した。UDー051はNuclear factor erythroid 2ーrelated factor 2とKelchーlike ECHーassociated protein 1とのタンパク質ータンパク質相互作用の阻害剤であり、アルポート症候群及び腎疾患の治療に使用されることが期待されている。

 アルポート症候群は、現在のところ有効な治療薬がなく、主に対症療法としてレニン・アンジオテンシン(ReninーAngiotensin:RA)系阻害薬が使用される。しかし、多くの患者は末期腎不全に進行し、腎代替療法を受けることになる。近年、腎臓病の治療薬開発において、Nrf2が酸化ストレスや炎症反応から細胞を守る転写因子であることから、新たな創薬ターゲット分子として注目されている。UBEと熊本大学との共同研究にて有用性を見出した新規化合物UDー051はNrf2を顕著に活性化するものであり、アルポート症候群モデルマウスへの顕著な腎保護作用が確認された。特に、RA系阻害薬との併用により腎不全への進行が抑制され、アルポート症候群モデルマウスの生存期間を顕著に延長する結果が得られた(令和3~5年度AMED事業「腎疾患実用化研究事業」で熊本大学・甲斐広文が研究代表者、UBEが研究分担者を務めた「日本発の特異的かつ可逆的Keap1阻害薬開発に繋がる腎病態改善アプローチの探索」の研究成果の一部)。本研究成果は、国際的なオープンアクセスジャーナル「Life Science Alliance」に受理され、6月17日に公表されている。UDー051の薬理学的なインパクトを示す試験結果(糸球体濾過率、アルブミン酸化度、病理所見など)は、国際的に知られるようになり、今後の治療法開発における重要な知見となる。

 UDー051はUBEの医薬研究所で新しく合成された低分子化合物であり、Nrf2とKeap1とのタンパク質ータンパク質相互作用阻害剤である。nMオーダーの濃度でNrf2とその抑制因子であるKeap1との相互作用を阻害しNrf2を活性化し、高い経口吸収率を示す。

 本契約により、GALTSはUDー051に関して、今後の開発、製造及び販売に関する全世界における独占的権利を獲得する。

 

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー