三井化学、義歯用材料が保険適用取得 3Dプリンターで作製

2025年12月04日

ゴムタイムス社

 三井化学は12月1日、100%子会社であるKulzer GmbHの日本法人であるクルツァージャパンが販売する3Dプリンターで作製する義歯用材料について、中央社会保険医療協議会の了承を得て、2025年12月1日付で、総義歯を対象に保険適用となったことを発表した。

 なお、3Dプリンターで作製する義歯用材料が保険適用となるのは、日本初の事例である。

 日本では高齢化が進み、75歳以上の20%以上が1本も歯がない状態(無歯顎)となっている(令和4年歯科疾患実態調査結果より算出)。また、年間約18万人が上下顎の総義歯を作製しているとされている(令和5年社会医療診療行為別統計より算出)。従来の総義歯は熟練した歯科技工士の手作業によって作製されてきたが、歯科技工士の高齢化による定年や30代以下の若手技工士の離職により人材不足が深刻化し、総義歯の安定供給が懸念されている。

 同社グループではこれらの社会課題を解決すべく、2020年より歯の配列や歯肉のデザインを3Dプリンターで造形して総義歯を作製する技術を日本市場に展開してきた。クラウドベースのソフトウェア上で作成したデザインをもとに、専用インクを用いて総義歯の歯肉部分と歯部分を造形、接着、後重合することで総義歯を作製する。

 この技術により、従来は歯科技工士が長時間かけていた作業の短縮化が期待でき、技術に依存せず均質な品質の総義歯を安定供給できる。今回の保険適用により、歯科治療の選択肢として3Dプリンターで作製する義歯用材料の社会実装が進むことが期待される。

3Dプリンターで作製した総義歯

3Dプリンターで作製した総義歯

3Dプリンターによる義歯床部分の作製

3Dプリンターによる義歯床部分の作製

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