NEDOの「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」において、デンカ、横浜国立大学、産業技術総合研究所、鹿島建設、東京大学大学院農学生命科学研究科、北海道大学は7月9日、共同で、「遺伝子組換え植物を利用した大規模有用物質生産システムの実証開発」プロジェクトに取り組んでいるが、このたび、同プロジェクトの成果を活用し、物質生産用に開発した植物を用いて、栽培から遺伝子発現、目的物質の抽出精製までを一気通貫型に実施可能な世界初の植物バイオものづくり研究開発拠点を横浜国立大学内に設置したと発表した。
同拠点では、宿主植物の育種、栽培、生成物の分離・精製などの研究開発のみならず、実証・製造への取り組み、技術情報の発信、人材育成までを包括的に連携させた運用体制により、国内における植物を用いた有用タンパク質生産などの新産業の創出を推進することで、次世代の植物バイオものづくりの中核拠点としての役割を果たす。
同プロジェクトでは、植物改変から栽培、抽出精製に至るまでの各プロセスで、事業として成り立つ生産規模として解決が必要な技術的な課題について研究開発を行い、最終的にこれらを融合・統合することで一気通貫型システムの開発を進めている。
これは世界的にも初の試みであり、日本独自のプロセスを構築することで、国内で、植物を用いた有用タンパク質生産の新規産業創出につながることを目指している。
その一環として、2024年度から横浜国立大学が産総研の再委託先となり、これまでの同プロジェクトの成果を集約した拠点を同大学内に設置することにした。同拠点では、植物の栽培、目的物質生産遺伝子の導入、目的物質を生産している植物体の破砕から精密ろ過に至るまでの一貫抽出・精製システムおよび不純物混入を抑え目的物質だけを高純度に抽出可能な抽出装置を整備するとともに、関連する研究開発・生産実証に向けて取り組んでいる。
併せて、技術の紹介だけでなく、座学や実習などを通じて産業人材育成にも活用する。
NEDOと産総研および各実施者は今後、同プロジェクトで開発した技術のさらなる高度化・高効率化に向けた研究開発を継続的に推進していく。
2025年07月10日