積水化学工業は7月8日、同社の環境・ライフラインカンパニーで、先端半導体製造における超純水用配管材に有機フッ素化合物を含まないPFASフリー化の新たな技術の確立にめどが立ったため、顧客への提案を本格化することを発表した。
同社は昨今の世界的なPFAS規制強化の流れや環境負荷低減ニーズの高まりを受けて、技術確立に取り組んできた。
半導体産業やFPD産業では、使用される超純水の水質を低下させずに供給する必要があり、配管資材の種類としては、樹脂材料では、硬質塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、フッ素樹脂(PVDF、PTFE、PFA)、金属材料では、特殊表面処理の金属管が使われている。
昨今、超微細化が進む先端半導体産業では、無機物および有機物の溶出ができるだけ少ない配管資材が求められている。
PFAS(通称ピーファス)とは自然界で分解されにくく、人体や生態系への影響が懸念されている有機フッ素化合物(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)の総称。
PFASのうち、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)およびPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)の製造・輸入等はすでに禁止されているが、現時点ではフッ素樹脂材料の超純水用パイプ・継手等に使用されているPVDF、PTFEなどは国内では規制対象外。しかしながら、欧米ではPFASを包括的に規制対象とする検討が行われるなど、世界的にPFASに対する規制が強化される傾向にある。
これまで同社は、プラスチック管材のパイオニアとして、1984年に超純水を輸送する硬質塩化ビニル製配管資材『エスロンクリーンパイプ』を発売、以降豊富な実績に支えられ広範囲に使用されている。
このたび、PFASの観点でフッ素樹脂に替わる低溶出な新素材として特殊オレフィン樹脂配管材を開発し、2022年11月より栗田工業と共同で、実際の超純水製造装置を用いた実証を進めてきた。この特殊オレフィン樹脂配管材は、従来のフッ素樹脂系配管材と比較し、製造時のCO2排出量の約80%削減を可能にする。
そしてさらに、世界的なPFAS規制の流れを受け、超純水用パイプ・継手のPFASフリー化に取り組んできた。
PFASフリー化技術の確立により、顧客への提案を本格化し、2026年度中の上市を目指す。
また、バルブ・ガスケットなどの超純水分野の配管資材のオールPFASフリー化についても、早期実現に向けて開発を進めていく。