クラレ、ジェネスタが第三者機関に評価 優れた耐高電圧特性を確認 

2025年07月09日

ゴムタイムス社

 クラレは7月7日、国際的な安全規格の策定を担うUL Standards&Engagementが5月に発行した、新規耐トラッキング性規格「UL 2597 Outline of Investigation for Test Method for Materials for Use in Transportation Applications:Surface Tracking Test Method」(最大試験電圧:900V)に基づく試験により、同社の耐熱性ポリアミド樹脂〈ジェネスタ〉の優れた耐トラッキング性(耐高電圧特性)が確認されたことを発表した。

 近年、電気自動車(EV)における高電圧化が急速に進展しており、2020年には800Vシステムが商用化され、現在では1000V超のシステムが実用段階に入っている。これに伴い、樹脂材料に求められる絶縁性能も高度化しており、特に耐トラッキング性が重要な評価項目となっている。
 既存の耐トラッキング性評価規格(ASTM D3638、IEC 60112)では、最大試験電圧が600Vに制限されており、実使用環境における高電圧条件との乖離が生じていた。
 同社では従来、自社法により600~1000Vの範囲で〈ジェネスタ〉の耐トラッキング性を評価し、900Vにおいてもトラッキング現象が発生しないことを確認してきた。5月にUL Standards&Engagementが新たに発行した「UL 2597」規格の登場により、600~900Vの範囲での標準化された第三者評価が可能となった。

 今回、UL Solutionsにて「UL 2597」規格のSurface Tracking Testを実施した結果、〈ジェネスタ〉ハロゲンフリー難燃グレード「GP2450NHー2 BLACK」(難燃性規格UL94Vー0認定)は最大試験電圧900Vにおいてもトラッキング現象の発生が認められなかった。従来規格で評価困難であった高電圧領域においても、〈ジェネスタ〉の優れた耐トラッキング性が確認された。

 同社はこれからも、独自素材である〈ジェネスタ〉の展開を通じて、自動車の高度化に伴う高電圧車載部品の小型化・高性能化・安全性向上に寄与するソリューションを提供していくとしている。

パワーコントロールユニット内の電流センサー

パワーコントロールユニット内の電流センサー

EVチャージャー

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