ダイセルの25年3月期連結業績は、売上高は5865億3100万円で前期比5・1%増、営業利益は610億1100万円で同2・2%減、経常利益は623億2000万円で同8・9%減、当期純利益は494億8000万円で同11・4%減となった。
同社は5月13日に開いた決算会見で24年度業績について「日系自動車メーカーの認証不正問題の影響を受けたものの、自動車関連や半導体関連市場の需要が回復したことに加え、為替影響等により増収となった」と説明した。営業利益はポリプラスチックスが展開するエンジニアプラスチックを中心に販売数量が増加したが、昨年秋に発生した酢酸原料である一酸化炭素(CO)プラントのトラブル影響に加え、減価償却費の増加などにより営業利益は減少した。なお、EBITDAは1024億円となり、同社として初の1000億円超を達成した。
セグメント別では、ポリプラスチックスが展開するエンジニアプラスチック事業の売上高は2479億8600万円で同9・3%増、営業利益は270億600万円で同47・6%増となった。同社はPOM(ポリアセタール)やLCP(液晶ポリマー)、COC(環状オレフィン・コポリマー)で積極的な増産投資を行っている。POMについては、中国の新プラントは24年11月に第1期の稼働がスタートしており、ポリプラスチックスが引き取り分(6・3万t)のプラントはフル稼働で推移。LCP(液晶ポリマー)は電子デバイス関連需要の回復を受けて、販売計画はほぼ計画通りとなった。COCは1四半期の生産トラブルにより販売調整を実施したが、2四半期以降はおおむね安定運転を継続した。
また、セイフティ事業の売上高は976億2000万円で同2・1%増、営業利益は39億3100万円で同31・4%増となった。自動車エアバッグ用インフレーター(ガス発生装置)などのモビリティ事業は、上期に日系自動車メーカーの認証不正や中国での日系自動車メーカーの不調による影響を受けたが、下期に中国自動車メーカーの生産台数が回復し販売数量が増加し増収だった。
26年3月期連結業績予想は売上高6000億円で前期比2・3%増、営業利益540億円で同11・5%減、経常利益560億円で同10・1%減、当期純利益540億円で同9・1%増を見込んでいる。「エンジ