三洋化成が創傷治癒材で薬事承認 京大森本教授らと共同開発

2025年05月09日

ゴムタイムス社

 三洋化成工業は5月7日、京都大学医学部附属病院形成外科 森本尚樹教授らとの共同研究により開発した新規の創傷治癒材「シルクエラスチン創傷用シート」の薬事承認を取得したことを発表した。本製品については、科研製薬に日本国内における独占販売権を付与しており、科研製薬が販売を担当し、2025年秋以降に日本国内で販売開始する予定。なお、本製品は、日本初の遺伝子組み換え技術を用いた医療機器となる。

 やけどやケガ、皮膚がんの切除などで皮膚が欠損した場合、通常の治療では治りにくい「慢性創傷」(難治性皮膚潰瘍)と呼ばれる傷が発生することがある。慢性創傷は、糖尿病、静脈還流障害、床ずれ、膠原病などさまざまな原因で引き起こされる。創傷の治療には、創面を湿潤に保ちながら、細菌感染を防ぐことが重要。しかし、慢性創傷は治癒に時間がかかるため細菌感染のリスクが高くなり、感染すると治癒がさらに遅れるという悪循環に陥りがちになる。
 本製品は、このような治りにくい慢性創傷の治癒を目的に、同社が京大病院とともに開発を進めてきた新しい治癒材。これまでの臨床試験のデータから従来の治療で効果が得られにくいような慢性創傷でも、細菌感染を助長させることなく治療できる製品となっており、治療期間の短縮や痛みの軽減を通して患者のQOLの向上に貢献することが期待される。

シルクエラスチン創傷用シート

シルクエラスチン創傷用シート

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