車向け回復で増収増益目立つ 原料11社のゴム関連部門

2024年11月28日

ゴムタイムス社

 合成ゴム・化学メーカーの25年3月期第2四半期決算(クラレは24年12月期第3四半期決算)から、合成ゴムやエラストマー原料など化学部門の現況をピックアップした。自動車関連の需要回復により前年同期に比べて販売が増えたこと、円安による為替影響が寄与し、増収増益となった企業が目立った。
 ◆日本ゼオン
 エラストマー素材事業の売上高は1206億5100万円で前年同期比15・2%増、営業利益が60億1400万円で同65・0%増。合成ゴムの出荷量は、前年同期比1%増。ラテックスおよび化成品は需要が回復し、出荷量は増加した。
 ◆三井化学
 モビリティソリューションの売上収益は2842億円で同8・8%増、コア営業利益は288億円で同7・1%増となった。エラストマーについては、自動車用途を中心に販売数量が増加したことや円安による為替差益の増加がプラス要因となったのに対し、一時的な交易条件の緩和があった。
 ◆住友化学
 エネルギー・機能材料の売上収益は1388億円で同7・4%減、コア営業利益は87億円で同33・8%増。正極材料の原料金属の市況が低水準で推移した。一方、前年同期は低調に推移していた自動車関連用途の出荷は増加した。
 ◆旭化成
 マテリアルセグメントのうち、基礎原料やポリマー、合成ゴム、エラストマー等が含まれる環境ソリューション事業の売上高は2792億円で同17・3%増、営業利益は165億円(前年同期は16億円の損失)となった。
 ◆UBE
 エラストマー事業が含まれる樹脂・化成品の売上高は1441億円で同18・9%増、セグメント損失は14億円(前年同期は24億円の損失)となった。
 合成ゴム(BR、ポリブタジエン)のエラストマー事業は主原料ブタジエン価格の上昇により製品価格も上昇したことから増収となった一方、利益はフォーミュラでの原料価格と製品価格の期ズレの影響があり減益となった。
 ◆デンカ
 エラストマー・インフラソリューション部門売上高は564億3200万円で同1・4%減、営業利益は30億3300万円の損失(前年同期は16億4400万円の損失)。クロロプレンゴムは低調な需要が続いており、販売数量は前年並みとなった。
 ◆東ソー
 石油化学事業の売上高は1062億円で同15・0%増、営業利益は73億円で同85・6%増となった。クロロプレンゴムは徐々に需要が回復し出荷数量が増加した結果、クロロプレンゴムの24年度上期は増収増益となった。
 ◆クラレ
 イソプレンセグメントの売上高は560億7600万円で同19・7%増、営業損失は55億6900万円(前年同期は40億6600万円の営業損失)となった。イソプレンケミカル、エラストマーは、自動車用途などを中心に需要が回復し、販売数量が増加した。
 ◆信越化学工業
 シリコーンが含まれる機能材料事業の売上高は2260億円で同4・9%増、営業利益は538億円で同4・0%増となった。
 ◆ダイキン工業
 フッ素樹脂はLAN電線分野や半導体装置向け材料分野での市場回復の遅れなどにより販売は厳しい状況が継続しているものの、為替のプラス効果により売上高は前年同期を上回った。 
 ◆ENEOSホールディングス
 エラストマー事業が含まれる機能材事業の売上高は1715億円で同16・4%増、営業利益が90億6200万円で同263・8%増となった。エラストマーは需要回復および販売拡大に伴い販売数量は前年同期を上回った。利益はブタジエン市況の高騰や円安影響によりマージン良化により増益となった。

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