旭化成ファーマは6月27日、同社が実施する、ARTー123(一般名:トロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え)、日本での販売名:「リコモジュリン点滴静注用12800」)の「化学療法誘発性末梢神経障害の感覚異常症状の発症抑制」に関する日本国内第3相臨床試験において、最初の患者への投与が開始されたことを発表した。
がん化学療法のうち、白金製剤、タキサン系製剤、ビンカアルカロイド系製剤などは末梢神経障害を誘発することが知られている。この化学療法誘発性末梢神経障害は四肢末梢の痺れや痛みを特徴とし、重症度が増すと日常生活に支障を来すだけでなく、化学療法の減量・中止を余儀なくされる可能性があり、患者の予後に影響を及ぼしかねないため臨床上の課題とされている。しかしながら、現在CIPNに対して明らかな有効性を示す確立された予防薬および治療薬はない。
これまでに実施された本剤の第1相試験および第2相試験で、本剤のCIPNに対する有効性および忍容性が示唆された。この試験結果に基づき、今後の臨床開発について当局と協議した結果、本試験を実施することになった。本試験では、大腸癌と診断され、かつ白金製剤であるオキサリプラチンを含む化学療法を施行する患者を対象として本剤の有効性を評価する。
同社は、「ひとりひとりの『いのち』に真摯に寄り添い、豊かなアイデアと確かなサイエンスで、アンメットメディカルニーズを解決する」というミッションのもと、CIPNに対する新たな薬剤を提供することで、患者のQOLの向上に貢献し、「病気を理由に、やりたいことを諦める人を、ゼロにする。」社会を目指していくとしている。