フィルム型ペロブスカイト太陽電池紹介 積水化学、COP28において

2023年12月20日

ゴムタイムス社

 積水化学工業は12月19日、アラブ首長国連邦(ドバイ)にて12月4日に開催された「COP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)」において、経済産業省主催のアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想イベント「Taking action together with ASEAN」にてフィルム型ペロブスカイト太陽電池サンプルの展示とともに、開発の概要を説明したことを発表した。
 同イベントでは、ネット・ゼロという「共通のゴール」に向けた「多様な道筋」による移行の重要性、アジア地域のエネルギー移行を支援するための具体的な省エネ・再エネプロジェクトを含むAZEC、CEFIA(Cleaner Energy Future Initiative for ASEAN)などにおける日本の取り組みについて発信が行われた。インドネシアのアリフィン・エネルギー鉱物資源大臣、ERIA(Economic Research Institute for ASEAN and East Asia)渡辺事務総長からの挨拶のほか、ベトナム、インドネシア、マレーシアの政府高官が脱炭素に向けた取り組みを紹介した。
 日本企業の取り組みの紹介において、同社のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の優位性と、技術開発の現状を説明、さらに現状最大サイズの製品(90×195cm)を展示し、参加国に対して事業化に向けた取り組みの大きなアピールとなった。
 また事後も含め、各国の政府関係者、企業との情報交換も行われ、有意義な機会となった。
 フィルム型ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟という特長を持ち、ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、あるいは曲面といった、さまざまな場所に設置が可能な次世代太陽電池で、再生可能エネルギーの普及拡大を加速させ、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献すること、エネルギーの自給自足の観点からは、エネルギー危機への対応にも貢献することが期待されている。
 同社は、独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」により、業界に先駆けて屋外耐久性10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築した。さらに、同製造プロセスによる発電効率15・0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功している。
 現在は、実用化に向けて、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率のさらなる向上を目指し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金も活用して開発を加速させている。また、早期の社会実装へ向け、東京都や西日本旅客鉄道、エヌ・ティ・ティ・データ、JERAなど、様々な関係先と連携して開発を進めている。
 同社は、長期ビジョン「Vision 2030」において、「Innovation for the Earth」をビジョンステートメントとして掲げ、イノベーションにより「サステナブルな社会の実現に向けて、LIFE の基盤を支え、「未来につづく安心」を創造していく」ことを宣言している。
 これからも、持続可能な社会の実現と同社グループの成長の両立を目指して社会課題解決に貢献し、ステークホルダーに信頼される企業であり続けるための取り組みを進めていく。

 

プレゼンテーションの様子

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