魚函のリサイクル技術を確立 積水化成品、再生原料として量産化

2023年02月15日

ゴムタイムス社

 積水化成品工業は2月8日、マテリアルリサイクルの拡大に向けて、鮮魚などの臭気除去が困難であった魚函のリサイクル技術を確立し、「エスレンビーズ RNW」の再生原料として量産化を開始したと発表した。
 積水化成品グループは、創立以来培ってきた発泡・重合技術を進化させるとともに、低炭素・循環型社会の実現を目指し、省エネルギーやリサイクルなど、環境と共生するモノづくりを展開してきた。物流容器や梱包材・断熱材として普及する発泡スチロールは、1970年代から業界全体でリサイクル活動に取り組み、国内リサイクル率は92%に達している。
 また、原料が単一のモノマテリアルであり、水平リサイクルに適した素材となる。2000年代には、使用済みの家電梱包材や廃家電部材のマテリアルリサイクルを実現した「エスレンビーズ RNW」(再生原料を使用した発泡ポリスチレンビーズ)を市場投入している。
 しかし、発泡スチロールの使用用途の約50%を占める食品関連材(魚函など)に関しては、特有の臭気除去の他にも多くの課題があり、マテリアルリサイクルの用途が限定している状況となる。
 同社は、魚函の臭気成分の特定と脱離の検討を進め、リサイクル技術と重合技術を融合させることで、バージン原料を使用した発泡スチロールと比べて、同等性能での提供を可能とした。現在までに、魚函由来の「エスレンビーズ RNW」は、再生原料比率を最大50%まで可能とした量産化技術を確立している。
 まずは、工業物流資材、建材、土木関連用途での採用を想定しており、さらに資源循環を強化すべく、バージン原料の活用を極力抑えた発泡スチロールの水平リサイクル実現に向けた取り組みを追求していく。
 今後の展開として、積水化成品グループは、持続可能な社会の実現に向けて、従来注力している3R活動(Reduce、Reuse、Recycle)に、2R(Replace、Re-create)を加えた SKG―5R を実践し、2050年カーボンニュートラル実現と、2030年度サステナブル・スタープロダクト(環境貢献製品)売上高比率50%を目指している。
 リサイクル原料を使用する素材の開発、特に水平リサイクルにはさまざまな課題があるが、廃棄物削減の観点から重要であると認識している。これからも、同社が保有する重合・発泡技術を進化させ、事業活動を通じた環境負荷低減の取り組みを行っていく。

マテリアルリサイクル

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